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「シュゴー、汚らわしいのよ!自宅や職場に現れては卑猥ひわいな事をやって、私や大切な人達に多大な迷惑をかけているのよぉ!

そんな気持ち悪いストーカーのアンタと結婚なんてするわけないでしょ?

私だけじゃないわ、女の子はみんなアンタとなんか結婚したくない!シュゴー。」


「俺がストーカー?言うに事欠いてストーカー扱いは心外だよ。

俺はだね、可愛いソラちゃんが好きなだけだよ。」


交番の中とはいえソラを追い込んた事で、優越的立場にいたミカミだったが、ソラの口撃の嵐を喰らい形勢逆転した。


「シュゴー、これだけ説明したってちっとも私の言っている事が理解できてないじゃないの!

人を好きになれば相手の気持ちを踏みにじってもいいわけ?

アンタに襲われてから私達は恐怖のどん底に突き落とされたんだからね!

楽しかった生活は破壊され、毎日を怯えて暮らす羽目になった私達の気持ちがわかるぅ?

重大な犯罪を犯したアンタは今すぐお巡りさんに自首をしなさい!シュゴー。」


ソラは喉が枯れるかと思うほど声を張って今までの鬱憤うっぷんをぶちまけた。

溜まりに溜まった心のしこりはこんなもので解消はされやしないが、立ち向かう事の大切さを認識した。


「ソラちゃん…。」


「シュゴー、パパとママが命名してくれた私の名前を気安く呼ぶな!

あんたなんか、男としてだけでなく人としても認めてないんだからね!大嫌いよぉ!」


ミカミは頭を抱えて泣き叫んだ。


「大嫌いよ?だってぇ?ひぎゃああああああしゅっ!!」


「静かにしなさい!このケダモノめぇ!」


ソラは手に持っていた長ネギをぶん投げてミカミの頭にぶつけた。


「俺は、ソラちゃんに嫌われていたなんて…。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だそんなの嫌だぁぁぁ!」


発狂したミカミは頭を抱えて警察官が不在の交番から逃げるように飛び出して行った。


「シュゴー、あっ?逃げるなんて卑怯だわ!待ちなさぁぁい!」


ソラはミカミを追って走り出した。


「ふわぁぁぁぁぁん!こんなに好きなのにぃ、こんなに好きなのにぃ嫌われたくないよぉ!あばびばあぶばぁぁ!」


キキィィ


路側帯をはみ出して車道を横切ったミカミを金ピカのハマーに乗った男が急ブレーキをかけて怒鳴りつけた。


「てめえ死にてえのか?」


錯乱状態のミカミには男の声は聞こえておらず、天と地がひっくり返るほどのショックを受けていた。

ソラを女神と崇めていたミカミにとって、ソラに嫌われてしまうのは死の宣告といっても過言ではない。


「絶対に逃さないんだからぁぁぁ!」


ソラは弾力性のある大きな乳房を隠す事なく揺らして走った。


パッバァー


金ピカのハマーを運転する男はたまらず、クラクションを鳴らした。


「おおい!お姉ちゃんも危ねぇだろうが!それにしたって、でっけえオッパイだ事…。」


強気になったソラは逃走を図ったミカミを追った。

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