鈴原 鈴芽

鈴原 鈴芽 八月十日午前5時五十二分頃

「急いで探しだせ、神の復活に必要なんだ」

遠くで、あいつがそう言っている。

白装束の男たちが長い棒を使って、草木を分けている。

森に隠れて潜んでいるが、早く逃げないといけない。



素足に、枯れた杉の葉や小枝が刺さる。

それでも、暗い森を走り続ける。


奴らにつかまるよりは、奴らの物にされるよりは、この痛みのほうがましだから。

それだから……

痛みに耐える。

この森を越えたら、この木々の隙間を越えていけば。

きっと、たぶん、そしておそらくで


自由があるはずなんだ。

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