春がくる

この真っ赤な嘘に

君は穏やかな笑みを浮かべ続けて


春が来るなら若葉が芽吹くように

傷ついても目を覚ます

悪夢でもいいから現実を幸せなものだと思うため


雪明かりを背にして

身も心も溶けてく


さあ星に願いを 今度こそ見てみたい

陽だまりの中で笑い合う僕らを


きらり輝く閉ざされた虚無の哲学よ

いつかまた会うことがあればどうかこの歌を


せめて今ここにある痛みを忘れないように祈っている


クリスマスなら来ないだろう

願いは胸に秘めておこう


冬眠の後は大きく手を振る

僕らが歩けばもう君はいない


ずっと君のそばで憂鬱と愛し合っていたけど

朝日が音楽を連れてきてしまったから


けれどそれでも望むことも止められなくて

せめて夢を

楽しい夢を


この雨はまだ降り続いているけれど

それでも行かなきゃ

ただ今は凍らせることだけを


もうこの世界は君のいない世界へと変わってしまう

朝は来る それでも明日は来るのだ


ただ待っていた 僕らがこの手を繋げる毎日を

きっとそこに

最初から君はいない


残酷なほどに罪深くこの氷は溶けていく

春が来る 今ようやく春が来る


この長すぎた冬

痛切な春風


「あなたを忘れよう……」

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