デストニック浅草

ベニテングダケ

第0話 血の気が多い街

午前5時。目が覚めると窓の外で鳥が鳴いていた。

「朝か…また死ねなかったな」

2064年。浅草のボロっちいアパートで、俺、「久我大義」は呟いた。

「5時…朝飯は…」

台所には、昨日買ったカップ焼きそばがある。お湯を沸かし、カップの中のかやく等を取り、しばらく待つ。その間に昨日干した洗濯物を外す。その間にお湯が沸いたので、カップに注ぐ。すっと鳥が、鳴くのを止める。

「静かだな。今日は死刑執行日だぞ」

死刑執行日。2055年。日本で、戦争が起きた。「第一次日本神話大戦争」名前の通り、日本に神が訪れた。7体の神。7つの罪を司る神が訪れた。神に思考を書き換えられ弱き人間は、人間を大量に殺し、日本の人口は、2054年の3億人から1万人まで減った。戦争から、9年。世界は変わり、2054年の日本へと徐々に戻っていった。人口以外は。

「3分か」

蓋を開け、焼きそばを食べる。

「0か」

テレビには昨日の殺害者を告げるニュースが流れていた。焼きそばを5分程で、食べ終わり、着物を着る。この街、浅草では、着物が正装だ。帯を締め、財布、携帯電話等を胸にしまい。家を出る。血だらけのアパート。俺達が生きていける世界は、東京だけとなってしまった。俺が生きる東京、もっと絞ると、浅草には、3000人以上の人を殺した人間だけが生きている。世界では、「死罪者」と呼ぶ。その中でも特に多く人を殺した人間を、「大罪者」7つの罪の祝福を祝う「大罪者」と呼ぶ。

「ひひっ…今日も殺るか」

転落死、墜死、横死、轢死、浸死、煙死、圧死、世界には、様々な死に方がある。様々な死に方が、ある以上、死にたいと思う人間も多々いる。10000人の人間を殺した「死神」と呼ばれる者共は、人を殺す役目を担う。浅草に住む、久我大義は、今日も仕事をこなす。死に方を、罪を司る死神。7つの罪を司る死神達は、今日も、明日も役目を果たす。


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