カナリアの姫 ~担当になった患者は人気JK配信者?視聴者の前でプレイが始まって俺の理性が崩壊寸前なんですが~
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On Air1
「ねぇ、もっと触れて? 私の、もっと奥深くまで」
正面のベッドに腰掛けた美少女は、熱っぽい視線を俺に向けた。
「……本当にやらなきゃ駄目か?」
「嫌なら他の人にお願いするだけだよ? お兄さんだって本当はシたい……でしょ?」
ここが病院の個室で本当に良かった。
こんな所を同僚に見られでもしたら、俺の人生は一巻の終わりだ。
「ちゃんと……見ていてね?」
「お、おい待てっ……」
俺が制止する間もなく、少女は勝手に自分の服に手を伸ばしてしまう。薄い病衣はあっという間に
ゴクン、と生唾を飲み込む音が聞こえる。
女子高校生らしい可愛い下着。
シミひとつ無い白い肌。
目を背けたいのに、どうしても視線を外すことができない。
そんな俺の様子を見た少女は、僅かに口角を上げた。
「ほら早く……私がここまでしたんですから、さっさと触れてください」
「わ、分かったから……」
「んっ、指冷たい!」
「おいこら、変な声を上げるな!」
あぁ、もう!
どうしてこうなったんだ!?
「わたし、すごいドキドキしちゃってる……」
「分かってる、頼むから落ち着いてくれ……」
ついそんな泣き言がこぼれてしまう。
一方の彼女は頬を紅潮させ、潤んだ瞳で俺を見つめていた。
(限界だ……さっさと仕事を終わらせて、担当を変えてもらおう……!)
◇
時刻は午後四時半を回っている。
日中の勤務が、そろそろ終わる時間帯だ。
しかし白衣の天使たちが休む気配はなく、忙しなく病棟を駆け回っている。
ナースステーションは今日も戦場だ。
病気に苦しむ患者さんのために汗水を垂らし、身を粉にして働いている。
俺――
この整形外科病棟に勤め始めて三年目の、男性看護師だ。
さて、そんな俺の今日のシフトは、夜勤となっている。日勤の仕事を引き継ぐため、少し早めに出勤してきたのだが……。
「俺と先輩の担当を……交換ですか?」
「そうなのよ~。ゴメンね、九重クン。お願いできないかしら?」
白衣に着替え、ナースステーションに入った瞬間。
同じ夜勤予定である病棟チームリーダーの剛田先輩に捕まり、そんなお願いをされたのだ。
詳細はまだ聞いていないが、どうやら担当患者の変更をしてほしいらしい。
「大丈夫ですけど、今からですよね? 何かあったんですか?」
「あはは……ちょっと言いにくいんだけどね。実はさっき、患者さんからクレームがきちゃったのよぉ。『他の看護師に変えて欲しい』って」
「あ、あははは。そうなんですね……」
先輩のその一言で、俺はだいたいの事情を察した。苦笑いを浮かべ、視線を先輩から外す。
(……患者さんに、ビビられたんだろうな)
何を隠そう、この先輩はゴリゴリのゴリラなのだ。高校時代にラグビー部で鍛えた筋肉は、白衣を纏っていても物凄い威圧感がある。仕事はできる人なんだけど、患者さん受けはあまりよろしくない。
「分かりました。ええっと、たしか五○一号室の一条さんですよね」
「そうそう! ありがとう、助かるわァ。それじゃあ悪いけど、
去り際に『とっても可愛い女の子だから、扱いに気を付けて~』と余計な情報を告げる先輩。心配事が解消され、ルンルン気分で点滴の準備に行ってしまった。
「可愛くても性格がキツかったらどうしよう……」
クレームの後だから、スタッフに悪感情を持っている可能性が高い。それでも仕事だから、しっかりやり遂げるつもりだけどさ。
「さて、と。それじゃあ行きますか」
今日の夜勤は大変そうだ。少し覚悟を決めてから、俺はその子の居る病室へと向かうのであった。
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