デバフ沼の錬金術師
七星北斗(化物)
1.逆に良かったかも
この世界は、メーリンと呼ばれ、魔法という概念が存在する。
十四歳になった私は、成人の通過儀礼、魔法適正を調べるため、教会に訪れています。
そこでわかった私の魔法適正とは?
「あなたの魔法は、「毒沼」「溶岩湖」です」
「嘘でしょーーーッ」
毒沼!溶岩湖?
毒沼ってあれでしょ、一歩でも足を踏み込めば、体力がガリガリ削られる。
溶岩湖って何!?火傷どころか、ショック死しちゃう。
何その地雷魔法、使い方がサッパリわからないし、近くの人が死んじゃうんじゃ?
「魔女だ!」
「えっ!?」
「毒で人を侵し、大地を穢す火。毒漿の魔女だ」
「私、何もしていない。魔女なんかじゃ」
「その魔法が証拠よ」
「そうだ、毒漿の魔女だ」
「毒漿の魔女は、村から出ていけ」
そうして数日も経たないうちに、私は村から追い出されました。
私は孤児なので、頼れる大人はいない。
これからどうするべきか?
「んー、よく考えたら。とくに変わらないよね?」
屋根が無くなっただけだし、食べ物に関しては、近くの山に行けば採取できるから。
でも、一度私の魔法を試してみよう!
どこか拓けた場所は、…そうだ、この先の草原なら、大丈夫かな?
しかし魔法の使い方がわからない。
こういう時は、イメージが大事ってどこかで。
「毒、毒?毒…毒沼」
両手を前に出して、イメージ…する。
「毒沼!!」
毒々しい?何これ!
手のひらから紫色の液体が、私を中心に円になるように広がった。
体が毒沼に沈む、死んだなこれ。
怖くて私は、目を閉じた。
だけどおかしい、痛くないし、苦しくもない。
目を開けば、何もない空間に私はいた。
「何ここ?」
「チュートリアルを開始致します」
頭の中に声が響いた。
「チュートリアル?」
「はい、マスター。この空間では、貴女様のマナを消費し、あらゆる物を作り出すことができます」
「私がこの空間の主ってこと?」
「はい、貴女様は毒沼の主人です」
「私がイメージすれば、何でも作れるの?」
「あらゆる物とは、言いましたが。武器や防具の類いの物は、例外として作れません」
「あなたは誰?」
「私は毒沼の案内人で御座います」
姿は見えないけど、会話は成立している。
何はともあれ、一度試さないと話が進まない。
「なら、暖かいスープを」
私は、甘いカボチャのスープをイメージする。
すると目の前に、黄色いスープの入った皿が現れ、白い湯気が渦を巻いて立ち昇り、甘いカボチャの香りがした。
私は、否応なしにお腹を鳴らす。
右手には、なかった筈のスプーンがあり、空腹を我慢できず、スープを口に運んだ。
「甘い」
こんな贅沢は初めてだ。
これ程上質なカボチャは、食べたことがないし。
しかも、いつものスープの量の三倍はある。
幸せだ。
デバフ沼の錬金術師 七星北斗(化物) @sitiseihokuto
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