第16話

太陽の優しい暖かさを背に感じながら、新たな冒険に旅立ちました。町から西へ約1時間の場所にある鉱山が私を呼び寄せていました。一歩ずつ、私は前に広がる仕事と、アイテムボックスによって与えられた独自の能力について考えました。


歩きながら、頭の中は思考でいっぱいでした。アイテムボックスを使ってミスリルを運ぶという考えが浮かびましたが、制約がありました。現時点では、私のアイテムボックスは5つのスロットしか持っておらず、各スロットには25個の同じアイテムを収納できます。ミスリルの密度を考慮すると、全体の荷物を運ぶために2度の旅行が必要と計算しました。


鉱山の入り口が近づくにつれて、鉱夫たちの忙しい活動が見えてきました。道具の音が岩にリズミカルに響き、労働のシンフォニーが生まれました。その中に立つがっしりとしたドワーフがいて、作業を監督していました。それが棟梁です。彼に近づき、尊重の意を込めて頭を下げました。


「こんにちは」と挨拶しました。「私はミスリルの輸送を手伝うために来ました。」


ドワーフの棟梁はぐっと頷いて、返答しました。「ああ、お前が待っていたやつだな。ミスリルは大事な鉱石で、ボーリンの頼みを聞いているぞ。」


「その通りです」と私は確認しました。「ミスリルはボーリンの鍛冶屋に使うつもりです。」


彼は理解を示すようにぶつぶつと返事をしました。「では、時間をかけずに進もう。ミスリルの準備が整っている。」


さらにいくつかのやり取りの後、私は棟梁と一緒に鉱山の奥へと向かいました。暗く照らされたトンネルは、ピックが岩に打ち付ける音で響き渡っていました。ミスリルはしっかりとした木枠に詰められ、旅の準備が整えられていました。


棟梁と一緒に木枠をカートに積みました。金属の重さに驚かされましたが、それは確かに他の材料よりも密度が高いことを示していました。カートが荷物でいっぱいになったら、私は一瞬立ち止まり、ミスリルを効率的に運ぶ方法について考えました。


そして、私のアイテムボックスのことを思い出しました。ミスリルをアイテムボックスに安全に収納できるかもしれない、と。ただ、鉟夫がその様子に驚くことは間違いありません。ボックスを開け、木枠を中に置きました。すると、棟梁が広がった瞳で私を見ました。


「魔法だな?」と彼は驚きの声を漏らしました。


微笑みながらうなずきました。「言い換えれば、そうです。」


最後の木枠がアイテムボックスの中に収まると、通知が目の前に現れました。「アイテムボックス レベルアップ:レベル2 アンロック。追加のスロット5つが利用可能になりました。」


この進展は予想していましたが、新しいスロットを利用してミスリルの木枠をさらに収納しました。棟梁の目は、木枠が薄くなって消えていくようすに驚きを浮かべました。


「先祖の髭よ、こんな光景は見たことがない」と彼は叫びました。


アイテムボックスの容量が増えたことで、ミスリルの輸送作業は驚くほど効率的に進みました。全ての木枠を安全に収納した後、ボックスを閉じて棟梁に向き直りました。


「ミスリルは輸送の準備ができています」と彼に伝えました。


まだ見慣れない光景に驚いている彼は、うなずきました。「わかった。進んでくれ。」


鉱山を出ると、達成感が私の中に広がりました。アイテムボックスは再びその価値を証明し、委ねられた仕事を果たしました。決意に満ちて、私はショップに向かいました。ミスリルをボーリンに届け、合意の一端を果たす準備が整っていました。

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