ちっちゃい風鈴がいきなりなると怖いよね

@Alamb

 

 午前1時。外はすっかり暗くなり、街灯と月が静かに佇む夜。

 学生ならば多くが経験する徹夜の最中。

 家族は寝静まり、家の中も真っ暗で、どことなく廃墟を思わせる静寂がゆったりと全身を包んでいる。


「静かな夜は、嫌いじゃない」

 ひとり呟いて、部屋を出る。

 昼は喧騒に包まれていたコンビニまでの道も様相を変え、人気のない神社は恐怖を加速させる。


 なるほど確かに、

 心の中で納得する。

 昼間とは違う街の顔、というのはどうにも幻想的で、そのまま吸い込まれてしまいそうな不思議な魔力を帯びている。


「腹減ったし、さっさと帰ろう」

 近道とはいえ、単なる「夜の街」が危険と無縁かと言われればそうではない。科学を纏う社会でも、神隠しは誘拐事件と名を変えて存在しているし、そもそもこんな夜中に起きていること自体、健康を考えればよろしくない。


 まあ、だからと言って帰ってすぐ寝るわけでもないんだけど。

 薄く笑って、コンビニで買ったスルメとお茶の袋を振り回す。

 深夜テンションというやつなのか、はたまた夜の魔力か。

 今にも踊り出しそうな高揚感を抑え、鍵を開けて自宅へと戻る。


 自室に荷物を置いてから、家族を起こさぬよう、両親の寝室から離れた一階のトイレへと向かった。

 廊下を渡った先、リビングを出てすぐのところにあるトイレの扉を開けた時、


 ーーーーリン


 鈴が鳴った。

 背中に冷や水をかけられたような正体不明の恐怖が全身を駆け巡る。

「……気のせい、か……?」


 閉じかけたトイレのドアを開けて耳をすませる。


 ーーーーリン


 やはり、と嫌な確信を得る。

 鈴の音でまず連想したのは、狐の面を被った行列。

 妖怪の類か、それとも……

 

 トイレを出て、周囲を見渡す。

 

 ーーーーリン

 

 家の中ではなさそう、か……

「っ!」

 そこで、一つの違和感を覚える。

 

 家の中、何かが違っている。記憶での間違い探しが始まった。

 頭をフル回転させながら、一歩、踏み込んだ。

 

 ーーーーリン

 

 ああ、と。

 謎が解けた喜びと、若干の呆れを含んだ息が漏れる。

 父親か、母親か。それとも妹の仕業か。

 兄ちゃんからひとつだけ言わせてもらいたい。



 ちっちゃい風鈴、トイレのドアに飾るなよ






***

初めまして、lambと書いてラムと読みます。


この内容は、すごく簡単に説明すると「深夜にコンビニから帰って、トイレのドアにつけられた風鈴に気が付かず開け閉めしたら音がしてちょっぴり怖かった」という話です。

特に何か伝えたいわけでもなく、ただ単に僕が体験したモノを共有したかっただけです。

こんな感じのくっだらねぇ内容を不定期に投稿しようと思ってます。面白いと思っていただけたら、是非とも感想でそう言ってください。

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