【誠の孤独に就いて】

朝詩 久楽

誠の孤独に就いて

 此の度、私は当作につけた決して良い気の起こる筈もない題目の通り、誠の意味で云える孤独と云うものに就いて馬鹿真面目に考え、思いの丈を以後の文として形に表し、書き留めてみようと思う。

 己の意思を他者と共有しようと足を踏み出せば周りを見ろ、考えろと人は怒る。かと云って、及び腰になってみれば此方こちらを反抗しない哀れな奴隷にでも見えているかの様に高圧的になり人は怒る。

 人間は理不尽であり、怒ってばかりのまるで生ける火山である。非常に扱い辛く、あれこれと要求ばかりが絶えず、止まない。多くの者は他者を理解した気ではいるが、所詮しょせんは皆一個人で成り立つ生き物であり、一人々々が皆他人、理解した気になって満足の悦に浸っているだけなのである。

 此れに気がつき、味方など誰一人として居ないのだと思え、全ての者が敵に見えた其の時、人は…誠の孤独を知るのだ。

 もっとも、以上に論じさせて頂いた誠の孤独など知るが吉、知らぬが大吉の事である。

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