親愛なる————へ 13
なにやら管のようなものが何本も繋がれた台座の上にホーエンハイムのフラスコが置かれると、そこから繋がっている機械が動き出す。
ホーエンハイムが何らかの操作をしたのだろう。カローナとゴッドセレスの入ったカプセルが緑の液体で満たされていく。
「この
「【因子】……ユニークモンスターやアナザーモンスターと闘うことで得られるものだったかね?」
「正確に言うのであれば、【因子】はモンスターの中でも一部の個体のみが持つ、群れのリーダーたる素質を示す遺伝子情報だ」
レオニダス・ランディアの中の"キング"個体や、女王魔蜂など……その群れの上に立つ素質は、持って生まれるものだという。
それを体内に取り込んだ際、奇跡的に『ファンタジア』と適合し、プレイヤーの情報として取り込まれてしまったのだ。
「
「カローナ君はともかく、ゴッドセレス君もいつの間に……」
「【因子】が適合すると、何がどうなる?」
「そのままでは意味はなさない。『ファンタジア』は人類が扱いやすいようにダウングレードしたものだから、【因子】を受け入れるには器が小さすぎる。しかし……それすら私が支配して見せよう」
ホーエンハイムの言葉に、ジョセフとヘルメスの視線が集まる。
無言のまま先を促しているのだろう。
「因子が適合したとはいえ、因子を取り込んだファンタジアはほんの一部。それも、取り込んだだけで発現はしていない。これを『バイオファンタジア計画』によって完全に活性化し、彼女達を次の次元へと押し上げる」
「……ただでさえ人外じみた2人が、さらに次元を超えてくるのか……」
「どれほどの変異が起こるのかは未知数だがね」
緑色の液体の中で眠るように目を閉じるカローナとゴッドセレスには、今のところ変化は見られない。
「ヘルメス、お前は彼女らの武器を作っていたな」
「あぁ、おかげさまで『アルケミスト』だからな」
「そこのパソコンのファイル、『21.02.05』を開いてみろ。“因子―ファンタジア相互活性”でのみ使用できる武器の設計図が入っている」
「準備がいいな?」
「想定していたと言っただろう?」
ホーエンハイムに言われるまま、ヘルメスはパソコンを操作して設計図を表示する。ジョセフもパソコンには興味津々なようで、ヘルメスの隣で画面を覗き込んでいる。
「これは……こんなものが実現可能なのか?」
「理論も設計もできている。足りないのは、それを作る素材と使う
「……ならありがたく貰おう。これが実現すれば、今までの武器や防具が軒並み
プレイヤーオリジナルでは、作成は不可能だっただろう。
クラフトが好きなヘルメスは、ここが敵地のど真ん中というのも忘れて新しい武器の作成に思いを馳せていた。
♢♢♢♢
『【因子】を確認しました。ファンタジアとの結合を開始───成功しました』
『ヒーラ・システムに要請───ファンタジアの置換を行います』
『レベルアップ! Lv99→100』
『レベル上限が撤廃されます』
『リミッターの解除に伴い、全てのステータスが上昇します』
『【
『【
『【スーパー・ビジョン】が【メタバース・ビジョン】に進化しました』
『【千里眼】が【ホライズン・ゲイザー】に進化しました』
『【エア・スリップ】が【スリップストリーム】に進化しました』
『【
『【
『【木ノ葉舞】が【蜃気楼】に進化しました』
『【
『【
『称号: 《因子―ファンタジア相互活性》 を獲得しました』
「んっ……」
ふと意識を取り戻す。
ちょうど私を包み込んでいた緑色の液体が抜けていくところだったようで、私を包み混んでいたふわふわとした感覚が、徐々に無くなっていくのが分かる。
終わった?
ってことは、レベルキャップ外れたんだよね!?
んふふふ……ステータス気になっちゃうよねぇ?
身体はまだ動かないけど、ステータス確認は思考入力で動くから簡単だ。
はてさて、どうなっているのやら……
————————————————————
Name:カローナ
Lv:100
Job:酒呑童子
Side job:ダンサー
HP(体力):130
MP(魔力):85
STM (スタミナ):170
STR(筋力):210
DEX(器用):130
AGI(敏捷):230
VIT(耐久力):120
INT(知力):110
MDF(魔法防御力):45
LUC(幸運):130
BP(バトルポイント):135400
PP(ペナルティポイント):0
ステータスポイント:10
アビリティ
【”妖仙流棒術”——銀吹雪】
【”妖仙流柔術”——黒旋颯】
【”妖仙流剛術”——禍震霆】
【魔纏】
【マジックエッジ】
【グラン・ペネトレイション】
【ウェーブスラッシュ】
【
【ドゥルガー・スマッシュ】
【ファイヤーボール】
【木ノ葉舞】→【蜃気楼】new!
【
【
【
【マキシーフォード】
【レール・アン・ドゥオール】
【ドゥヴァン・デブーレ】
【クロワゼ・デリエール】
【アンシェヌマン・カトリエール】
【セカンドギア】
【スーパー・ビジョン】→【メタバース・ビジョン】new!
【千里眼】→【ホライズン・ゲイザー】new!
【エア・スリップ】→【スリップストリーム】new!
【
【ファイナルゼーレ】
【アイドリング・ルーティーン】
【
【
装備
左右:なし
頭: なし
腕、胴、腰: なし
足: なし
アクセサリー(3/5)
・次元超える天文鏡
・禍ツ風纏
・AI内蔵高性能マイク『ASDirect』
称号
《岩原を踏破せし者》
《鎮魂者》
《女王蜂候補》
《女王魔蜂の刻印》
《名誉妖怪》
《樹海を踏破せし者》
《翡翠の
《覇龍を背に、真実を胸に》
《不浄を浄化せし者》
《妖精女王の専属秘書》
《因子—ファンタジア相互活性》
所持金:567300G
【
自身のヘイト値が100%の場合に使用できる。180秒の間———
ドガァァァァァァンッ!!
「っ!?」
ステータスを確認している途中、激しい音が聞こえてきて思わずその方向へと視線を向ける。
少しクリアになった視界の、カプセルの向こう側。まだ緑色の液体が抜けきっていないから見にくいけど、見覚えのある黒い生物が、ヘルメスさんへと襲いかかってる姿があった。
私とセレスさんがレベルキャップを解放している間に、モデル《Almighty》がこの部屋にたどり着いたのだ。
─────────────────────
あとがき
あんまりステータス表示で文字数稼ぎはしたくないのですが……許してくれぇ……
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