その翼に誇りを、その瞳に覇天の輝きを 22
「セレスさん、ごめんね。カメラありがとう」
「構いませんわ。どうかしましたの?」
「ちょっと私の弟に会ってね……」
「カローナ様の弟ですの!? まさか、あの子が?」
・カローナ様の弟!?
・カローナ様お姉ちゃんだったんか!
・待て、カローナ様と同居……?
・羨ましい……
・カローナちゃんと一緒に住んでるとか勝ち組だろ
・弟も化け物スペックだったりするのかな
「……まぁ話してるところ見てたら、どのプレイヤーが弟か分かっちゃうよね……。写したりしてあげないようにね? 視聴者さんも詮索しないように」
「さすがにそんな意地悪しませんわ。しかし、カローナ様の弟だったのですね。道理でとんでもないわけですわね」
「『ヴァイオリン』のこと? まぁ、その点に限っては私より才能あるからね」
ハヤト……『ファルコン』はウィザードをメインジョブに設定しているが、実際にはサブジョブの方をよく使っているらしい。
それは、ミンストレル系隠し上位
妖精の名にちなむその
そしてファルコンが好んで使っているのは、ヴァイオリン型の楽器『ヴィオラ・ダ・ガンバ』だ。
楽器の……特にピアノとヴァイオリンの演奏に限れば、ハヤトは私より遥かに才能があるんだよね……。何回金賞取ったか分からないぐらいだし。
そんなファルコンが全力の演奏で全体にバフを掛けているわけだし、今回はメグメグも居る。そりゃウンディーネ攻略も捗るよね。
「ただでさえ少ないミンストレル系ジョブの、しかも上位ジョブで、あれだけ十全に操れるプレイヤーはどこを探しても見つかりませんわ。弟さんはどんな上位パーティでも引っ張りだこですわね」
「それは私も認めるわ」
「むしろ『パレードリア』に入ってもいいですのよ?」
「誘ってみたらいいんじゃない?」
・弟さんミンストレル系職業使えるの?
・PSエグくない?
・俺ギターすら弾けないんだけど……
「そんなことよりさ、ウンディーネが『物理無効』ってマジ? 私ダメな子?」
「マジですのよ。カローナ様は物理以外の攻撃をお持ちで?」
「……【ファイヤー・ボール】で何とかなる?」
「……湖にマッチを投げ入れて効果があります?」
「だよね」
・悲しい
・申し訳ないけどちょっと草
・可哀そう可愛い
「カローナ様の分も
セレスさんはそう言いながら、右手に右っていた杖をズイッと私に見せつけた。
黒っぽく禍々しいその杖を、私は一度見たことがある。
「まさか、『崩欲杖イシュタム』?」
「その通りですわ! まりッピ様にお借りしましたの。以前のカローナ様の配信でまりッピ様が持っていることは存じ上げていましたが、まさか貸していただけるなんて思いもしませんでしたわ!」
・セレスちゃんの方の配信も見てるけどヤバい
・DPSがダントツだし
・セレスちゃんにイシュタムはチートだろ……
以前の配信でもまりッピが使ったように、イシュタムはアイテムを消費することで、そのコストに比例して魔法の威力を上げる能力を持っている。アイテム100個ほどの消費で、ダイハード・メガランチュラを一撃で沈めたほどだ。
そんな杖を、純魔法職かつランキング最上位のセレスさんに持たせたら、それはもう最強だろう。
「参考までに、セレスさんはどれぐらいアイテム消費しました?」
「
「ひぇっ」
ただでさえ100個ほどの消費であの威力だったのだ。
それを数十……下手したら百倍の倍率で、しかも魔法職最強のセレスさんが魔法を放ったらいったいどうなるか……。
怖いけど、それ以上に見てみたい。
「OK、なら私はセレスさんの周辺警護ね。呪文詠唱の時間が欲しいんでしょ?」
「その通りですわ!」
巨大なスライムみたいな姿になっているウンディーネは、確かにワイバーンより触手も多く、飛び道具なんかも使ってくるあたりは厄介だ。
しかし、今この場は多くのプレイヤーで溢れ返っているし、中にはセレスさんのファンもたくさんいる。私だけで捌き切れなくても、たくさんのファンが肉壁になってくれるでしょ。
私とセレスさんが気合を入れ直したところで、突然
『アネックス・ファンタジアをプレイする全てのプレイヤーにお知らせします』
『現時刻をもちまして、レイドモンスター:
『参加したプレイヤー全員に、アイテム:
『アイテム: 残されし希望 を所持している参加プレイヤーに アイテム: 古龍の始原核 が与えられます』
「っ!?」
マジ?
流石は
「向こうもやってくれましたわね。こちらもそろそろ決めますわよ! 皆様、サポートしてくださいまし!」
「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」」」」」
「その意気ですわ! では……【ダブルディール】、【ユニゾンレイド】、呪文詠唱———“
「えっ」
その呪文って、まさか【
セレスさん、もしかしてこの混戦の中で
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