その翼に誇りを、その瞳に覇天の輝きを 13

『アネックス・ファンタジアをプレイ中のすべてのプレイヤーにお知らせします』


『現時刻をもちまして、堕龍おろち・ワイバーン型が討伐されました! MVPはプレイヤー名: ゴッドセレス、ラストアタックはプレイヤー名: 四ツ歯の苦労婆 です』


『参加したプレイヤー全員に、アイテム: 堕龍おろちの飛竜鱗 が与えられます』


『アイテム: 残されし希望 を所持している参加プレイヤーに アイテム: 古龍の始原核 が与えられます』


『レベルが上がりました! Lv58→68』

『アビリティ【闘殴乱舞とうおうらんぶ】を獲得しました』

『アビリティ【旋舞打擲せんぶちょうちゃく】を獲得しました』

『アビリティ【セカンドギア】を獲得しました』

『アビリティ【セカンドウィンド】を獲得しました』

『アビリティ【流葉】が進化しました』

『アビリティ【蜂の一刺ホーネットピック】が進化しました』

『アビリティ【パ・ドゥ・ポワソン】が進化しました』

『アビリティ【パ・ドゥ・シュヴァル】が進化しました』

『アビリティ【パ・ドゥ・シャ】が進化しました』

『アビリティ【パ・ドゥ・ヴァルス】が進化しました』



 うおぉぉぉ……アナウンスが一気に来るぅ……。

 一気に10もレベルアップしたからか、アビリティの獲得と進化がいっぱいだ。



「どうしよ、新しいアビリティと進化したアビリティ合わせて10個ぐらいあるんだけど、皆さん見ますか?」



 ・討伐おめでとう!

 ●無風呂(フローレス):[¥10,000] おめでとうございます!

 ・気になるけど、おろちが迫ってるのでは?

 ・ステータス振って次のやつ倒しに行こ



「フローレスさん? でいいのかな? スパチャありがとうございます! 確かにそうですね、ひとまずステータス振って次の堕龍おろちに向かいます! 諸々の説明はクエスト終わった後にしておきますね」



 『ステータス』開いてステータスポイントを……うーん、STRとAGIはマストとして、STMとDEXも……。


 あぁ、もうポイントがほとんどない。

 【変転コンバージョン】使うのにMPは必要だし、【魔纏】のためにINTも……。

 あれ? VITとMDFに回すポイントがない。


 まぁいいや、これで!



————————————————————

Name:カローナ

Lv:68

Job:鴉天狗

Side job:ダンサー

HP(体力):90

MP(魔力):50

STM (スタミナ):100

STR(筋力):140

DEX(器用):70

AGI(敏捷):145

VIT(耐久力):15

INT(知力):40

MDF(魔法防御力):15

LUC(幸運):85

BP(バトルポイント):10892

PP(ペナルティポイント):0


アビリティ

 【”妖仙流棒術”——細雪】

 【”妖仙流柔術”——山嵐】

 【魔纏】

 【シークエンスエッジ】

 【ペネトリースパーダ】

 【ウェーブスラッシュ】

 【連獅子】

 【パワーノック】

 【マジックエッジ】

 【ファイヤーボール】

 【流葉】→【木ノ葉舞】new!

 【蜂の一刺ホーネットピック】→【蜂穿火ほうせんか】new!

 【闘殴乱舞とうおうらんぶ】new!

 【旋舞打擲せんぶちょうちゃく】new!

 【三手三棍さんじゅさんこん

 【パドル・ロール】

 【アントルシャ】

 【アン・ナヴァン】

 【ア・ナリエール】

 【パ・ドゥ・シュヴァル】→【グリッサード・プレシピテ】new!

 【パ・ドゥ・ポワソン】→【グラン・カブリオール】new!

 【パ・ドゥ・ヴァルス】→【トゥール・アン・レール】new!

 【パ・ドゥ・シャ】→【グラン・ジュテ】new!

 【セカンドギア】new!

 【レム・ビジョン】

 【アストロスコープ】

 【セカンドウィンド】new!

 【因子コード


装備

左右:魔皇蜂之薙刀

頭:冥蟲皇姫の帝冠インゼクトレーヌ・クローネ

腕、胴、腰:冥蟲皇姫の鎧インゼクトレーヌ・クロス

足:冥蟲皇姫の脚鎧インゼクトレーヌ・レガース


アクセサリー(1/5)

 ・次元超える天文鏡


称号

《岩原を踏破せし者》、《鎮魂者》、《女王蜂候補》、《女王魔蜂の刻印》、《名誉妖怪》、《樹海を踏破せし者》


所持金:124300G

————————————————————


 ・防御かなぐり捨ててて草

 ・もう後戻りできなさそう

 ・バフの方が多いんやね

 ・ちょこちょこ知らないアビリティある……



「カローナ様、まだ時間は大丈夫です?」


「もちろん! 今夜はちょっと夜更かししちゃおうかな……?」


 ・エッッッ

 ・カナっち狙ってるよね

 ・できればマイクに近寄って囁くように言ってほしい



「視聴者の皆様方、カローナ様をそんな目で見ないでくださいます? それに彼女は未成年ですのよ? セクハラしたらどうなるかお分かりですの?」


 ・ごめんなさい

 ・ごめんなさい

 ・ごめんなさい

 ●カローナ様のブーツ:[¥5,000] 土下座するので踏んでください



「セレスさんのおかげで視聴者さん達ちゃんと謝って……あ———っと、まぁこの人はもうこういう人だからしょうがないかな」


「カローナ様が良いのであれば良いのですが……。それでカローナ様、時間があるのであればこのままウンディーネの討伐に向かいませんこと?」


「おっけー、ウンディーネね。あ、でもその前に、一旦『アーカイブ』に戻ってもいいかしら? ドラゴンの復活ができないか頼んでみるわ」



 たぶん、さっき手に入れた『古龍の始原核』なるアイテムが、石像のドラゴンを復活させるのに必要なアイテムでしょ。


 ドラゴンがどんな感じか分からないけど、スペリオルクエストには必要不可欠な要素だろうし。



「分かりましたわ。私はここのプレイヤーを連れて一足先に向かっておりますので、あとでいらしてくださいね?」


「了解! ところで、タイタン型はいいの?」


「タイタンにはMr.Q様が出向いてくださっていますし大丈夫かと思いますわ。それに、助っ人を呼んだとかなんとか……」


「助っ人? Mr.Qクウが?」



 世界最高レベルのプロゲーマーのMr.Qクウが呼ぶ助っ人って、いったいどんな人なんだろう……



        ♢♢♢♢



 時は少し遡り、カローナ達が堕龍ワイバーンとの激闘を繰り広げている頃。

ここは【ターミナル・オロバス】の道中。


 地面の至る所がひび割れ、その隙間から溶岩が流れ出している危険な場所だ。当然、熱気も凄まじいもので、それだけでもスリップダメージでHPが僅かに削られていくほどである。


 そんな火山地帯を闊歩する巨人・・が1体。

 その巨人はすでに【ターミナル・オロバス】を半分以上踏破し、そこを住処とする魔導機兵マギ・トルーパーを捕食して、如何にも硬そうな金属の装甲を備えていた。



 堕龍おろち・タイタン型。二足歩行のその巨人は、10mを優に超える巨体を揺らし【ユピテル】へと歩みを進めていた。


 そんな化け物を止めるべく、駆け付けたプレイヤーが二人。

片方はMr.Qであり、もう片方はMr.Qに呼ばれてこの場に駆け付けたプレイヤー『スターストライプ』である。



「Hey、クウ! あいつが例の堕龍タイタンってヤツかい!」


「お前なぁ、ゲーム内ではMr.Qって呼べって」


「Sorry! クウが助けを呼ぶなんて、明日は雪でも降るのかい?」


「はぁ……まぁいいや。カローナちゃんは他のところ行ってるし、あいつの相手できそうなのはお前ぐらいしかいなかったんだって」


「オレとしては頼ってくれて嬉しいけどね! その代わり……」


「『決闘』だろ?」


「That’s right! すぐにでも『1位』陥落させてあげるよ!」


「はっ、そう言っていまだにお前が『2位』止まりなのをお忘れで?」


「うるせぇ! BPの差はそんなにないんだが!?」


「はいはい。で、あいつをどうやって倒す?」


「正面から殴り勝つのは難しいんだろ? だったらステージギミックを利用するのが手っ取り早いさ!」


「だよなぁ。そもそも二人で相手しようってのが間違ってるし。ヨシッ! 目標は『堕龍タイタンを火山の火口に突き落とすこと』、でOK?」


「No problem! その立派な鎧をひん剥いて谷底にバンジーさせてやるさ!」



 スターストライプは己を鼓舞するように、身体の前でこぶしを合わせ、両腕に装備した手甲を叩きつける。


 ガキィィィィンッ! とけたたましい金属音が鳴り響くと同時、合わせた拳から発生した光がスターストライプとMr.Qを包み、彼らのステータスを上昇させる。職業ジョブ『拳聖』の強化アビリティ【気功円環】だ。


 音に気付いた堕龍タイタンがゆっくりと振り返り、彼らの戦闘が開始した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る