その翼に誇りを、その瞳に覇天の輝きを 6
あの、なんだか首がめっちゃ増えてません……?
最初からあった
しかもヤマタノオロチみたいに首がきれいに枝分かれしている訳じゃなく、翼や肩から首が生え、どこぞのオカルト人形みたいな歪な姿となっている。
というか、なんかおかしくない?
こちらに向けてブレスを放とうとしている頭はそれぞれ、見た目が違うのだ。
個性があるという話ではなく、獣のように鼻や耳がある頭や、鳥のように
どう考えても、ドラゴンじゃないモンスターも混ざってるよね?
これ、
気づけば
広範囲3に収束2かぁ、いけるかな?
ここまで育て上げた機動力を全開にし、いざスタートを切る———その直前。
「「「バタリング・チャージ!!」」」
「Karorororororo!?」
「えっ?」
どこからか現れた十人ほどのプレイヤーが、大盾を構えて
十人分の突進アビリティが横っ腹に突き刺さった
「お、マジでセレスちゃんもカローナちゃんもいるじゃん!」
「くっそ硬ぇ!」
「いやでも効いてる! 押せ押せ押せぇ!」
「誰だおい、今タンクを後ろから撃ったやつ!?」
私とセレスさんの呼びかけのおかげか、それともスペリオルクエストでヒーローになろうという目論見か。
とにかく大勢のプレイヤーが戦場になだれ込んできた。
しかしまぁ、これだけのプレイヤーが集まると事故も起こるわけで。
魔法攻撃のフレンドリーファイアを受けて声を荒げる一部のプレイヤーが、
「いやでも、悪いけどラッキー」
「お疲れ様ですわ、カローナ様!」
「いやいや、まだ始まったばかりだからね?」
「確かにそうですわね! 皆さん聞いてくださいまし!
さすがは配信者というべきか。この喧騒の中でもよく通る声で、セレスさんが呼びかける。ほとんどのプレイヤーが我関せずと
「おー、すごい。本物のセレスちゃんとカローナちゃんだ……あ、えっと、『カメラマン』リーダーの4Fです」
「あ、どうも。クラン『ジュエラーボックス』リーダーのダイヤモンドです。アーカイブの爺さんに派遣されましてね、こっちに行けと」
「『銀龍聖騎士団』のお非~リアです、お待たせしました。『ディー・コンセンテス』のMr.Qはいないんですね?」
「ご機嫌よう、皆様。助かりますわ! Mr.Q様はタイタン型のところへ行っているようですので、
「で、作戦は?」
「ひとまず人海戦術で削りますわ」
「結局そうなるのね……」
「おかげさまでかなり人が増えましたし、それが一番効率が良いかと。防御に長けた『銀龍聖騎士団』の皆様と、オールラウンダーな『ジュエラーボックス』の皆様で協力して前衛をお願いしますわ。『カメラマン』の皆様は補助アビリティでその援護を。
「姫様のためならば、何者も通さぬ盾となりましょう」
「オッケー。みんな、『銀龍聖騎士団』の人とチームを組め! 準備でき
「セレスちゃん? この戦い、写真撮っていいですよね?」
「お好きになさってくださいまし」
「ありがとうございます! こんなに盛り上がりそうなクエストですから、ばっちりカメラに収めてあげるわよ!」
即席の同盟を組んだ各クランのリーダーが指示を出し、大勢のメンバーが一斉に動き出す。
すでに百人規模にまで膨れ上がった戦場に統制された一団が参戦したことにより、戦い方がようやく洗練され始める。
「それで、私は?」
「カローナ様は頭を使ってくださいまし」
「えっ、あの、気分を害したのなら謝るけど……」
「あっ、そ、そういう意味で言ったわけではありませんわ!? カローナ様には
「あー、そういうことね」
「そうなのですわ!」
ビックリしたぁ……こんなに気品にあふれたセレスさんに『自分で考えろバカが』なんて言われたら、この場でログアウトして独り泣き明かすところだったわ。
「まあでもそれで言うのなら……なんとなく検討はついてるわ」
「マジですの?」
「マジマジ、ほらだってあの
「そうい言われますと、ワイバーンには見えない……というよりは、他のモンスターが混ざっていますわね?」
そう、
つまり
「私に対して頭を5つも増やしたところから推測するに……一番有効なのは打撃でも斬撃でも魔法でもなくて、高機動とかデバフとかでひたすら嫌がらせをしまくってリソースを削りきること、かしらね」
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