▼006『自分達の至る地平』編【12】


◇これまでの話



◇第十章




 トレオは、その数値を聞いた。


《タスク10。――アンサー11を出してくれ。

 出来ると信じてるぞ》

 

 構わないであります。

 己は行動を宣言する。



「真剣勝負! 不動の一撃! BBB、信じる全てにおいて全力振りであります!!」


 真剣は”怒”で行く。

 そしてSTRで足下を固め、


「全力……!」


:ホーリーフォーサー+1 剣術+1 力技+1 度胸+1 術式発動+1 




『おおっとトレオ選手! 初心者にしては高めのレベル5を利用して、一気に五つスキルを展開!

 正に初心者向けフルコース!

 ここでアンサー5を稼ぎました!

 しかし難度10を越える合計11を出すには、あと難度6が必要です!』


『いいではないか! ――続け賜え少年!』



 ええ、とトレオは応じた。

 長剣を両手で高く掲げ、


「この刃には聖女の加護が届いているであります!」


・聖女の加護+1


「僕はもう、今の境遇を恐れない!」


・度胸+1


「何故なら、僕を応援する多くの人がいると、知ったのであります!」


・度胸+1


「何故なら、僕に”信じて”と、そう声を掛けてくれた人がいる!」


・度胸+1


「何故なら、そんな僕をここに連れてきてくれた仲間がいる!」


・度胸+1


「僕は恐れず信じるであります」


 叫ぶ。


「――我は前を見る者なり!」



『――そうだ! 我ら前を見る者なり!』


『現在合計アンサー! あとアンサー1、どうしますか!?』


 決まっているであります。


『この刃を、ピグッサンに捧げるであります!』



 その声と重なるように、判定が結論を出した。


・度胸+1


 これで合計アンサー11。


「おお……!」


 到達したのだ。

 そして全員が叫んだ。


「ブレイブリー・ブレッシング・ブレイド……!」




・トレオ(しまむら)

 ――真剣勝負で不動の一撃。BBB、信じる全てにおいて全力振り。

:ホーリィフォーサー×1 剣術×1 力技×1 術式発動×1 度胸×6 聖女の加護+1



『――BBBが発動します!!』



 DE子は見た。

 ただゆっくりと振り下ろされる光の刃。

 長さは数十メートルに至る一撃が、吶喊するボスワイバーンに真っ正面から入った。


『……!!』


 割る。


「――!!」


 割った。

 両断破砕だ。



 ……おお。


 力という言葉。

 そのものを感じる。

 周囲の青の空、灰色の石畳のフィールド。

 その上で光の刃に竜は断たれ、


「――謳え世界」


 天上から届いた聖女の言葉と同時。

 トレオの光の刃が散った。

 だがそれは破砕ではなく、一瞬で無数の光の刃となり、


『……!!』


 破断されながらも前に出ようとした巨竜を、莫大の刃が一瞬で塵にする。

 音は多重の硝子の響き。

 割れて散る姿は流体光となり、


「うわ……!」


 砕け散る光に、戦闘が終了した。

 勝利したのだ。



 牛子は、DE子を地面に下ろして一息を吐いた。

 周囲、ボスワイバーンであった流体光の欠片が散っていく。

 風に舞うそれらは、もはや死骸ではなく、世界を構築するための燃料そのものだ。


 ……これを固めたら結晶になるのでしょうか……?


 と、そんな疑問を思いつつ、ふと、己は気付いた。


 ……リザルトが出ない?



 おかしい。

 ミッションは終わったのだ。

 ならばリザルトの表示枠が出て良いはず。それが展開しないと言うことは、


 ……まさか、ボスワイバーンの後ろにもボスが控えているんですの?


 こちらと同じ事を思ったのだろう。

 横にやってきていた梅子が、周囲に視線を向ける。

 だが、そのような敵の気配は無く、ただ足下に流体光の欠片が舞い散り、そして、


「……え?」


 周囲の風景が、変わった。

 大きな変更ではない。

 空が今までよりも青黒く。

 地面には白の霧が満ちて。

 これは何だか解らないが、名付けるとしたら、



「……白の地平!?」




◇これからの話


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