第52話 邪龍
リリアンは姿を消した時、全ての兵士を使って捜索をした。
「陛下!ダメです、どこにもいません!!!!!」
「くまなく探せ!!!!!必ずいるはずだ!!!!」
「
「あぁ、まるで神隠しにあったみたいだ」
「兄様!!!見つかりましたか⁈」
走ってくる
「こんな時に…!!!!全軍、戦闘準備!!!!!!邪龍を迎え撃つぞ!!!!!!」
『了解!!!!』
リリアンの捜索は今は後回しにする。今は姿を見せた邪龍の相手をしなければならない。姿を見せた漆黒の龍はまさしく邪龍と呼ばれるのに相応しい姿をしている。体には電気を纏い、誰も近づけないようにしており、前国王が引き返すほどの気配を感じさせる。
『コノ私ニ近ヅク者ハ…ソナタラカ⁈』
「我が名は朱炎!!!!貴様を倒す者だ!!!!!!」
朱炎は邪龍に飛ぶ斬撃をすると邪龍はあっさりかわし、光線を口から噴き出す。朱炎は避けると背後にいた兵士はそれを喰らってしまい、兵士は吹き飛んでいく。
朱炎は申し訳ないと思いながら邪龍に刀を向ける。その瞬間、水華は空を飛ぶように地面を蹴ると邪龍に斬撃を加える。
「くそっ!!!浅い!!!!!」
邪龍は叫び声を上げるが水華の傷は鱗の間に刃が入っただけで、ほとんど擦り傷に近い状態。邪龍は水華に目を向けると雷を降らせる。水華は防御魔法で壁を造るが、落雷の威力が強いため無意味な結果になってしまう。
「水華!!!!!!」
朱炎は叫ぶが水華は電撃を喰らい、感電してしまいそのまま地面に落ちていく。するとその水華をイフが抱えて地面との衝突を回避する。
その瞬間、リリアンが森の中から姿を見せる。アルディンに水華を任せるとリリアンはイフにマナを送る。
「イフ、遠慮はいらない!!!!好きなだけ暴れなさい!!!!!」
「その言葉待ってたぜ!!!!」
イフは飛び上がると邪龍を勢いよく殴る。邪龍は声を上げると稲妻を降らせる。イフは結界を張り、雷を防ぐ。先程水華では防げなかった雷撃を簡単に防ぐイフに朱炎は目を丸くさせる。地面にまで降り注ぐ雷はリリアンの元に降り注ぐ降り注ぐ。
「
「私にかまわないで!!!邪龍を弱らせて!!!!」
「了解です!!!!!!」
イフは邪龍に炎の魔法を放つ。邪龍に効いているようで、うまく攻撃が入る。しかし、邪龍の雷技が山に火を放つ。その火が山の木々を燃やし、炎が上がる。
「しまった!!!このままじゃ町に…!!!!」
朱炎の予想通り、炎は町向かって燃え続け、突き進んでいく。炎を見た東国の人たちは燃え上がる山を見て逃げ惑う人々もいれば、祈りを捧げる者で溢れかえっている。残った兵士たちは人々に避難するように伝えるが、パニック状態の人々に伝わらない状態になっている。
「どうすれば…」
『コノママ下ガレバ、コレ以上被害ヲ出サナイヨウニ、シテヤッテモイイゾ!!』
朱炎たちを嘲笑うかのように言う邪龍に朱炎は怒りで奥歯を噛み締める。朱炎はこれほどまで怒りを感じたことがない。水華さえ意識が戻れば、水魔法で火を消し止められるが、今の水華は雷で感電したままで意識が戻らない。
「陛下!!!ご指示を!!!!」
「一旦引きましょう!!!!」
周りの兵士はもう戦うことを拒否している。邪龍を倒さなければ自分たちが元に戻れない。そればかり考えていたが、ここに居る兵士たちはこの戦いが終わった後には特に何もない。
変わるのは自分たちの姿だけ。彼らには、何もない。これは、元に戻りたいと願うだけの自分のエゴだと感じる。
「……ッ!!!!!」
リリアンは燃え続ける炎を見て、イフに目線を送る。イフなら分かるかもしれない。特定の精霊を呼び出す方法を。
「イフ!!!お願い、水の上級精霊を呼び出す方法を教えて!!!!」
「水の上級精霊…⁈いくらなんでも無茶ですよ!
「このままじゃみんな死んじゃう!お願い!」
「……。わかりました、お教え致しましょう」
「ありがとう」
イフはリリアンに上級精霊を呼び出す方法を教える。精霊を呼び出す魔法陣を造り、いつものように精霊を呼び出す。その時に水の精霊を強く念じる。
『我名はリリアン・ネルベレーテ、汝の問いに応え、ここに契約の契りを交わそう。姿を見せよ、水の上級精霊よ!!!!』
リリアンのマナが抜かれているが水の上級精霊を呼び出すためには耐えるしかない。全てを持っていかれそうな感覚に、リリアンは顔を顰める。その瞬間、水の精霊が姿を見せる。
「新たな
「もちろん!!!!」
彼女は姿を見せると水の化身のような姿になり、リリアンの前で片膝を付いて挨拶をする。
「初めまして
「挨拶は後!今すぐ山に移った炎を全て消して!でも、人には被害を出さないように!!」
「お任せください!!!」
ウィンディーネは大津波を引き起こすように山に移った炎をあっさり消し去る。その様子にイフはムカつくような表情をしている。軽々やり退けるウィンディーネはリリアンに褒めて欲しそうにリリアンを見つめている。
「ありがとう、ウィン。助かった」
「いいえ!言われた通りにやっただけですよ〜〜♡」
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