第44話膝蓋腱反射(クローヌス)

更に2.0km/hに歩行速度を上げればガチンコで1056mになり1kmを超えられる。これはまだまだ訓練が必要だ。

 1.8km/hを暫く歩いて左側に軸足を置けるようになるまで4週程度は掛かるだろうから0.1ずつ上げなくてはならないが、想いを成し遂げる為に焦っては折角歩容が固まって来たのに敢えて崩す必要も無い。

 僕が健常者の若い頃ならば、我武者羅に身体を痛めつけていただろうが最早還暦に脚を踏み入れた初老に我武者羅は似合わないどころか回避しなければならない選択肢。

 己を知って己の世話をする・・・。

マサにポラリスの実効支援を通所者自ら理解し、ウィズポラリスを地で行こうとしている。

 十数年前の急性期から暗い時間を生きた。そしてコロナのパンデミック!

2回目の接種会場は医師が約30人、看護師が約50人程度集まって各々受け付けの問診や待合室前に立ち入った問診、体調や専門的な問診を行う看護師の席に着いた。

 彼女は、てきぱきと多目の立ち入った問診を続け、「片麻痺について質問が有りますので、教えて下さい。日常生活に於いて今まで痙攣など起こした事がありますか?」

「麻痺の左足が疲れて冷えた時にクローヌスが時々出ます。」分かっている事を伝えたかった。

「えっ、クローヌス?」やっぱり分からない?言い直しをして、リハビリの医学用語で申し出た。

「膝蓋腱反射(しつがいけんはんしゃ)が出ます。」彼女は無言で頷いた。

「あっ、膝蓋腱反射ですね、分かりました。」そして、軽く返事をしてくれた。

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