第14話所長のフラワーヴィレッジさん

ポラリス山口南店の所長はフラワー・ビレッジさん(仮称)で、ニューヨーク生まれの日本育ちの生粋の日本人だったが長い間、病院勤務で培った経験と知識で勝負していた。

 と、言えば信じる人が居るかも知れない。が、長年の病院勤務は本当の話しだ。

時にはジョークを飛ばし時にはニコニコとして、話をしてくれた。

 彼を最も信頼したのは僕が執筆した小説「迎撃のワクチン・愛のしらたま」と、その続編「クロマメ大魔王」を執筆し、読んで貰った時の感想だった。

「最後は泣きそうでした。」

 登場人物とその元彼女が元通り一つになると思ってくれていたらしく、敢え無く人生の最後を迎えたので感涙というやつだろうか、小説に嵌って頂けなければ起きない感情だ。

 何気無い文中の表現やキャラクターに感情移入しながら読んでくれていなかったらとてもあんな感想文を生み出せなかっただろう!

 丁寧に読んでくれたのは彼ならではの優しい性格。

深くまで読んで頂いて有り難かった・・・。

 最近フラワービレッジさんと一月余り連絡が取れなかったので、心配して散々メールを送信したが、尚も不通。

 もう連絡を諦めかけていたある通所の朝、ヒョッコリはんのように僕の眼前に飛び出した男が、誰だか判別を着けるのに一秒も掛からなかった!

 フラワービレッジさんだったのだ! 彼は相変わらずニコニコ顔をしていた。

「島根県に新しくポラリスが出来るので、僕はそこの所長として赴任が決まりまして、まだ内緒だったのでいうに言えず。でしたスミマセン。」

 これで溜飲を下げたのは言うまでも無い。

彼はプライベートの電話番号と、メールアドレスを僕に託してくれた。

 友人の印だ

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