憂鬱なBirthday
Shizukuシーちゃん
なんでだよ…
8月17日、気が付けば今年もこの日を迎えていた。
いつからだっただろう、誕生日が嬉しくなくなったのは。
昔は今か今かと誕生日を待ち続けていた気がする。
もう、遥か昔のことだ。
「なおくん、あのね、えっとね、ぼくね、おおきくなったらね、おいしゃさんになりたいんだ」
「おいしゃさん!かっこいい!そしたら、ケガしてもだいじょうぶだね!おうくんがなおしてくれるもん」
「でもね、おいしゃさんになるにはね、いっぱいお勉強しなくちゃいけないんだって。すっごくたいへんなんだって。だからね…」
~しょうがっこう、みんなとべつのとこにいくの~
「えっ、じゃあ、もうおうくんと会えないの?」
「ううん、ひっこさないから、いつでもあえるよ!ちがうがっこういくだけ」
「そうなの!よかった~!がっこうちがうのはさみしいけど、ぼくもがんばるから、おうくんもがんばって!」
「…!!うん!」
~来年は誕生日祝えなくてごめんな~
「なぁ、あいつが何かしたのかよ、なんで病持ちじゃないあいつの遺書があるんだよ、なんで人の来年の誕生日なんか気にしてんだよ、なんで、言ってくれなかったんだよ、なんで、もうあいつと会えないんだよ…」
目から水滴が頬を伝って落ちていく。
そんな中でも、時は刻々と過ぎてゆく。
8月18日。今日はあいつの命日だ。
憂鬱なBirthday Shizukuシーちゃん @sizukul
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