第4話
無事にムンド教団の者から学園を取り返した僕は聖騎士団長の名も借り、避難所として学園に来るよう声を魔法で大きくして呼びかけ続けた。
「か、感謝しますぞ……この学園を無法者の手より奪還していただいたことを」
「いえ、当然のことをしたまでですから」
そんな中で、逃げてきた先生たち並びに学園長。
僕は学園長から直々にお礼の言葉を告げられていた。
「僕の職種は既に知っているでしょう?」
「ま、まぁ……」
僕の言葉に学園長が頷く。
「レイン先生に僕の正体を明かしたのは不問として……既に僕の職種を知っているならばこれくらい大したことではないことくらいわかるでしょう。それより大事なのはこれからです。僕はここを任せ、今回の件を主導したものを叩きたい。僕なしでもここを守り抜くことはできますか?」
「……ッ」
「……学園長?」
僕の質問に答えるのではなく、ただただ息を呑み、驚愕に目を見張るばかりである学園長を前にして僕は首を傾げる。
「……君も、随分と優しくなったものであるな」
「は、はぁ……」
学園長の言葉に僕はなんとも言えない声を漏らす……優しくなった、って何だろうか?別に僕は何も変わったつもりないんだけど。
「あ、あぁ!気を悪くしないでくれ、こちらの勝手な感想ゆえ……ここの保持は我々が責任をもって勤めよう。我ら学園の教師の名でもって」
「ん。その言葉が聞きたかったです」
学園長が力強い言葉を聞いた僕は頷く。
「それじゃあ僕は行くから」
僕は異端審問官序列第一位『死神』としての衣装をまとい、ゆっくりと浮かび上がる。
「それじゃあ」
僕は学園長に別れの言葉を告げ、この場を立ち去ろうとする。
「……ノーネームくんや」
「ん?」
そんな僕のことを学園長が名前を呼んで呼び止めてくる。
「行く前に、サーシャちゃんに顔を見せてあげなさい。あの子は君を慕っているだろうから……戦う前に会いもしたいだろう」
「ん。わかった。必ず顔を見せていくよ」
僕は学園長の言葉に頷き、今度こそこの場を後にするのだった。
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