第95話 錬金術の活用法
「疲れたにゃ~。」
「そうだな。まさかここまで疲れるとは思わなかったな。」
錬金術でブラックダイヤを分離する事ができなかったカイン達は、正攻法でダンジョンの壁をツルハシで掘ってブラックダイヤを見つける事にしたのだが、地下1階で見つけて光る壁3か所と、地下2階で見つけた光る壁3か所を掘ったカイン達だったが、ブラックダイヤを見つける事は出来なかった。
ツルハシを両手で持ち、振り上げて振り下ろす。一つの壁に対して、100回はツルハシを振っただろう。それは、カインとラックにとって、かなりの重労働だった。
体力的に疲れたカイン達は、地下2階で夜営をしていた。当初の予定では、錬金術でブラックダイヤを分離し、10個以上のブラックダイヤを手に入れるつもりだったが、予想は大幅に外れていた。
「まあでも、筋力トレーニングだと思えば多少はましか。明日は筋肉痛かもしれないから今日よりも壁を掘る量は減る可能性もあるけどな。」
「アタシはスピードタイプにゃ。ツルハシで筋力が上がるのはわかるけど、筋肉をつけすぎるとスピードが落ちるにゃ。」
「まあしょうがない。ブラックダイヤを手に入れたないと、欲しい家具も寄付だってできないんだ。あと3日はがんばらないとな。」
「きついにゃ~。明日は今日掘った所の続きから掘った方が見つかるんじゃないかにゃ?」
「いやそれは無理だ。ダンジョンの壁は1時間ぐらいで元に戻るらしい。バニーさんが1時間ぐらいでブラックダイヤが出ないと次の場所に移動するって言ってたのは、そういう事もあるからだと思う。」
「なるほどにゃ~。そう言えば掘っていて思ったんにゃが、カインの錬金術でブラックダイヤは分離できにゃいけど、土を分離して取り出したらブラックダイヤが壁の中に残ってるんじゃないのかにゃ?」
「えっ・・・」
(ブラックダイヤを分離で取り出すのではなくて、土を分離で取り出す・・・。そうだよ。なんで今まで気づかなかったんだ。壁から土を分離すれば他が残るじゃん。鉄とか金とか銀なんかもあるかもしれない。そこにブラックダイヤがあるかもしれない。俺のバカ!そんな簡単な事に気付かず、バカ正直にツルハシで掘ってたのかよ。あ~一日無駄にした。)
「ラック!!そうだよ。土を分分離すれば良かったんだ。全く気付かなかったよ。ありがとう。これでブラックダイヤも見つけられるし、ツルハシを振らなくてもよくなるぞ。」
「やっぱりにゃ。でも気づけてよかったにゃ。明日もこの調子ならアタシの大きなベッド計画が崩れる所だったにゃ。」
「よし。そうと決まれば今日はもう寝よう。早速明日試してみたい。」
新たな錬金術の活用法に気付いたカイン達は、疲れを癒す為に早めに眠りについた。
翌日・・・
「すごいにゃ。ツルハシで掘らなくても壁から土がドンドン出てくるにゃ。」
カインは、壁に手を当てて錬金術を発動する。目的はブラックダイヤだが、対象がイメージできないので取り出す事ができない。土を取り出す事にしたカインの錬金術によって、壁がえぐられ土が壁から出てきた。土が取り出されてえぐれた壁の下には、取り出されなかったモノが落ちていた。
「ラックのおかげだ。落ちているモノを集めてくれ。俺の鑑定を使えばどんなモノかはわかるから、売れそうなモノだったら、錬金で固めて持って帰ろう。ブラックダイヤがどういったモノかはわからないけど、名前からイメージはできるだろ?」
「わかったにゃ。」
(さてさてダンジョンにはブラックダイヤ以外にどんな資源があるのか・・・鉄に金に銀、ミスリルとかアダマンタイトとかもあれがいいな~。)
ラックが集めた様々な色の砂粒をカインは鑑定していく。予想した通り鉄に金や銀が混ざっていた。ミスリルにアダマンタイトは見つからなかった。
(ミスリルとかアダマンタイト、ヒヒイロカネとかの素材もあるかもと思ったけど、なかったな。もっと下の階に降りれば見つかるか??それにブラックダイヤもないな。鉄は無視して、金と銀は錬金で固めて持って行くか。昨日と比べて格段に作業がスムーズだったな。これなら手間もかからない。錬金術を使って土を取り出し金と銀を錬成する。鑑定を使って他の素材を調べる。俺の魔力だけ気にしてれば問題ないな。最悪ブラックダイヤが見つからなかったとしても銀と金を売ればそれなりの金になるはずだ。下の階の方が希少な素材がある可能性が高いなら、下に降りる階段を見つけたらドンドン降りて行った方がいいな。)
錬金術を活用して、ダンジョンの壁から素材を取り出す事に成功したカイン達は、その後、地下3階へと降りてダンジョンを進んでいった。光る壁を見つけたらカインが錬金術を使って土を取り出して金と銀を集めた。
そして、地下3階で3つ目の光る壁に錬金術を使った時、地面にピンポン玉程のモノが転がってるのにラックが気づく。
「カイン!!ブラックダイヤにゃ。ようやく見つけたにゃ。」
ラックがそれを拾って確認すると、鑑定結果にもブラックダイヤと出た。
「よし!!やったなラック。やっぱりこの方法は正解だな。ドンドン行くぞ!」
ブラックダイヤを見つけた事でテンションが上がったカインとラックは、疲労も忘れダンジョン内を縦横無尽に走り回るのだった。
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