第85話 王都アルプス
王都に到着したカインとラックは、その大きさに圧倒されていた。
「さすが国の中心にゃ。入る時も思ったけど、先が見えないぐらいの城壁だったにゃ。」
「そうだな。シフォンも大きかったし、ここに来るまでに通った大きな町と比べても全然違うな。それに人も多い。王都の中に入るだけでも2時間は待ったもんな。」
「色々期待できるにゃ。美味しいご飯にふかふかのベッドにゃ。それに魚も食べたいにゃ。海の町にいけばあるんだろうけど、この世界に来てからまだ魚を食べてないにゃ。やっぱり猫と言えば魚にゃ。王都なら絶対あるはずにゃ。」
「たしかにそうだな~。俺も元日本人として魚はやっぱり食べたい所だな。それを言えば米も食べたいし、味噌汁も飲みたい。まあ米がこの世界にあるかどうかはわからないけどな。」
「絶対あるにゃ。この国になくても、きっと東に島国があってそこには日本の料理があるはずにゃ。」
「何を根拠に言ってるんだ?」
「根拠はないにゃ。だけどこれはお約束ってヤツにゃ。だから間違いないにゃ。」
(まあラックの言う事って意外に当たる事が多いからな~。ラックの運の能力値が関係してるのかもしれないけど、そういうなら楽しみにしておくか。)
「とりあえずギルドに行こう。お金は金貨が200枚以上あるから旅の疲れを癒す為にも数日は王都観光しようか。その間にギルドに出てる依頼やお店とか色々行って、情報を集めようぜ。」
「わかったにゃ。又お金も貯めないといけないにゃ。次の神の開放にはいくら必要にゃ?」
「金貨300枚ぐらいだな。」
「かなり稼がないといけないにゃ。又ダンジョンに行くにゃ。きっと王都のダンジョンは稼げるに違いないにゃ。」
「そうだな。その辺も調べないとな。なんせ王都は国で一番大きな所なんだ。動くお金も大きいはずだ。」
(とりあえず冒険者としてどれぐらい稼げそうかはギルドで調べるとして、錬金術が使えるようになった今、素材を使ってモノを作って売る方法だって取れるんんだ。薬草と水でポーションは作れたしその辺で稼ぐ事も視野に入れて、後は・・・家だな。宿屋よりも家を借りた方が絶対安上がりな気がする。俺の錬金術じゃまだ家を作れないから始めは借家になるだろうけど、その内土地買って大きな家を建てるのも面白うそうだな。)
カインとラックは、入った傍から賑わっている王都の町を眺めながら、ギルドを探した。屋台で肉の串を買い、ギルドの場所を教えてもらい、ギルドへ向かう。ギルドも王都と言うだけあってシフォンの町のギルドの二倍は大きかった。
「さすが王都にゃ。ギルドもめちゃめちゃでかいにゃ。」
「だな。これは依頼も多そうだな。」
(まあその分冒険者の数も多いだろうから、絡まれたりする可能性もあるけど・・・。俺とラックでどこからどう見ても子供だもんな。丁度この間13歳になったけど、13歳って言ったら中学1年生ぐらいだもんな。)
カインとラックは、大きなギルドに圧倒されるもそのままギルドの中へと入って行く。
中は予想通り多くの冒険者で賑わっている。どこを見てもいかにも冒険者というような風貌の男性と女性ばかりだった。カインのような子供は一人も見えなかった。
そして、ギルドに入って早々一人の冒険者から声を掛けられた。
「どうしたんだこんな所に子供二人で?親とでもはぐれたのか?」
「何言ってるにゃ?冒険者なんだからギルドに来るのは当たり前にゃ。そんな事もおっさんはわからないのにゃ?」
(いやいやいきなり喧嘩腰ってラックさんざまぁする気まんまんじゃん。できれば俺はトラブルは避けたいんだけど・・・)
「がっはは。そうかそうか冒険者だったか。それはすまんかったな~。いや初めてみる顔だったからついな。それにしてもその若さで冒険者か。嬢ちゃんランクは何だ?Eランクか?もしかしてDランクか?」
「失礼にゃ。アタシとカインはどっちもCランクにゃ。」
「Cランク・・・だと!?俺と一緒じゃねぇか。」
(これはどっちだ?絡まれてるのか?それとも親切に世話を焼いてくれているのか?)
「そうにゃ。アタシとカインは強いのにゃ。」
「王都に来るのは初めてみたいだが、どこから来たんだ?」
「元々はオルスタインにゃ。王都の方が稼げると思ってこっちに来たにゃ。」
「オルスタインか、って微笑みの魔女の所じゃねぇか。という事は不正してCランクって訳じゃなさそうだな。俺はアルバスっていうんだ。王都で長年冒険者をしてるベテランだ。お前らみたいな子供なら色々困る事もあるだろ?何かあったら言えよ。相談ぐらいは乗ってやるぞ?」
「ホントかにゃ。アルバスは良いヤツにゃ。アタシ達王都は始めてにゃ。ご飯の美味しい所とふかふかのベッドがある宿を教えてほしいのにゃ。」
(よかった絡まれてるんじゃなくて世話好きの冒険者だったみたいだ。見た目怖そうなのにお節介焼きの冒険者って異世界の定番だよな。それよりオルスタインの名前を出したら急に俺達の冒険者ランクに納得言ってたみたいだけど何かあるのか?それに微笑みの魔女って???)
王都の冒険者ギルドにきたカインとラックは、いきなりベテラン冒険者に絡まれるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます