第52話 ハニービークイーンを求めて森へ
「今日は森に行くにゃ?」
「ああ、ラックのレベルも10に上がった事だし、ハニービーが巣を作ってる所を見に行くつもりだ。今まで相手したハニービーよりも強い個体がいるらしいし、巣があるって事は、数も多いはずだ。俺も戦うからここでハニービーを倒しまくってお金を稼ぐのと、蜂蜜を手に入れるのが目的だな。」
(そういや~考えない様にしてたけど、あのサイズの蜂が作る巣ってめっちゃでかいんじゃないか?普通の蜂の巣だってメロンぐらいの大きさなのに、それの30倍・・・普通の家ぐらいの大きさじゃないと無理だろ・・・まあ異世界だから形状が違う可能性もあるか・・・うん。その方が現実的だな。家サイズの蜂の巣なんてもはや脅威しかないもんな。)
「わかったにゃ。アタシもハニービーなら楽勝にゃ。今日は金貨100枚ぐらい稼ぐにゃ。」
「さすがにそれは言い過ぎだけど、二人で100体倒せば、強い個体なら金貨30枚は狙えるはずだ。ラックが傷ついても俺が回復魔法は使える。ハニービークイーンが出てきても何とかなるはずだ。火魔法は森では使えないから風魔法を中心に俺は魔法を使う。風魔法は初級しか使えないから、場合によっては水の中級魔法を使って一気に倒したりするだろうけど、まあそれは状況によってだな。」
(そういや~ここの宿の人もハニービーの蜜は食べた事ないって言ってたな。大きな巣だったら見つからないはずないし、隠れて巣を作ってるのか?まあ森に行けばわかるか。)
カインとラックはギルドで今日は森に行く事を伝えて、リンゴ樹園を抜け、草原を抜けて森へと入った。
「森に入るとゴブリンもいるんだな?」
「ん?気配察知にゴブリンの反応があったにゃ?」
「ああ、今の俺の気配察知の範囲はだいたい30m程だから、今は見えないけど、あの感じはまちがいなくゴブリンだ。倒していくか?」
戦闘民族君Ⅱで獲得した気配察知は、開放された当初は周囲10m程しかわからなかったが、日々続けた成果なのか、それともレベルが上がった成果なのかはわからないが、今では周囲30mぐらいまではわかるようになっていた。
「丁度いいから倒していくにゃ。ゴブリンの周りには他の魔物はいないにゃ?」
「ああ、今の所大丈夫だからサクッと倒していくか。ただ、やっぱりハニービーの反応は多いな。」
「確かにアタシの耳にも空を飛ぶ音が聞こえてくるにゃ。」
カインとラックは、ゴブリンを倒してそのまま森の探索を開始した。森の中には数多くのハニービーがいたが、カインとラックの今の実力なら問題なく倒す事ができた。一番効果があったのはカインの気配察知だろう。目に見えなくてもどれぐらいの数が集団でいるかがわかるので、危ないところは避けたり先制攻撃で倒したりしながら森の探索を続ける。
しばらく狩りを続けた後、休めそうな場所を見つけたので、腰を下ろして休憩する事にした。
「さすがに多いな。」
「本当にゃ。もう40体ぐらいは倒したんと思うにゃ。」
「途中から数えてないけどそれぐらいになっててもおかしくないな。それに巣を探そうにもこんなにハニービーがいたんじゃ探索も思うようにできないな。こりゃ巣がなかなか見るからないのも納得だ。」
「たしかにそうにゃ。巣を探す余裕なんてないにゃ。どこに魔物がいるのか警戒するので精一杯にゃ。」
「だよな~。」
(俺の場合は気配察知があるからまだましだけど、気配察知にひたすら魔物の気配がするからこれはこれで疲れるんだよな~。反応しないようにする事はできるけど、ここで反応を切ったらそれこそ大変だからな。こりゃ何日かにわけて少しずつ探索していかないとどうしようもないな。まあレベル上げとお金稼ぎが平行してできてるからそれだけはありがたいな。)
「どうするにゃ?このまま探索を続けるのかにゃ?」
「ああ探索はするがエリアを絞って何日かに分けた方がよさそうだ。闇雲に行動して取り返せなくなったら大変だからな。しばらくは目に付くハニービーや森に出る他の魔物を倒しながらレベルとお金を稼いで、少しずつ森を探索していこう。俺の気配察知なら巣は見つけられないけど、ハニービーなら見つける事ができるかもしれない。」
「ハニービークイーンの気配がわかるのかにゃ?」
「逆だ。わからないからこそ、知らない気配を感じとればそれがハニービークイーンの可能性が高い。」
「なるほどにゃ。カインは賢いにゃ。なら100体を目標に倒しまくるにゃ。それなら毎日金貨30枚ってカインが言ってたから4日頑張れば120枚にゃ。」
「いやラック。さすがに毎日毎日狩りに行くのは大変だ。明日ぐらいは休みにしないか?ゆっくりする事も必要だと思うぞ。服を見たり、ゆっくりお茶やスイーツを食べたり、日用品や骨とう品なんかを見たり。」
「デートにゃ!!たしかにそうにゃ。そう言えばフロリダに来てから一日も休んでないにゃ。そう考えるとアタシ毎日けっこう頑張ってるにゃ。」
「ああ。だから明日は休みにしよう。今日は少々無理しても大丈夫だからどうせならより多くの魔物を倒すのを目標にしよう。あっだけど、さすがに魔力がなくなるとそれ以上は無理だからその辺はセーブしながら行くぞ。」
「わかったにゃ。」
そうして、休憩を終えたカインとラックは、森での探索を再開するのだった。この日カインとラックは宣言通り、キラービーの針を100個ギルドに収めて、受付のシルに大いに驚かれるのだった。
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