第49話 レベル10とハニービーの森

作戦会議をした翌日から、カインとラックのハニービー狩りが始まった。フロリダの町の周辺ではカイン達以外にもハニービーを狩っている冒険者もいたので、時には他の冒険者の戦いを参考にしながら、カインはラックを見守っていた。


(やっぱり3人以上のパーティを組んでる冒険者がほとんどだな。前衛と後衛をうまくわけて、前衛が防御をメインにして、後衛が弓が魔法で倒すパターンが一番多いみたいだな。たしかにハニービーは蜂と言っても大きいし弓のいい的だよな。練習にもなりそうだし。前衛は盾で攻撃を防いでるのが多いか・・・俺はあんまり盾は使いたくないな~動きにくそうだし。俺の場合は魔法も使えるから魔法剣士って所か。いやラックの事を考えたら魔導士寄りだな。)


ハニービー狩りを開始してから3日程たったが、ラックはずっと楽しそうにハニービーを狩っていた。元々獣人はこういった戦闘が好きなのかもしれない。すでにレベルも10になっているだろう。一応他の冒険者の目もあるので、ステータスチェックは宿に戻ってからする事にしていた。


だが、ラックの能力が上がっているのは確実だろう。今まで正面から爪で切り裂いていたが、今では背後に周りより安全に倒して行っている。もはやスピードはレベル30のカインよりも早いだろう。


「カインこれで今日は40体目にゃ。この3日間で目標の100体達成にゃ。」


「よし少し早いけどこの辺で切り上げよう。今日はシルさんと食事に行く約束だっただろ?」


「そうだったにゃ。汗臭いから先に宿に戻って身体を拭くにゃ。」


フロリダの町に来てから、今日で5日経つ。その間にカインとラックはシルと仲良くなった。シルだけじゃない。毎日多くのハニービーを狩るカインとラックには多くの冒険者が話しかけてくるようになり、少しずつ冒険者との交流も増えてきたのだ。


ラックとシルが同じ獣人というのもある。シルが人気受付嬢というのもあり、この町で獣人が人気だったのだ。


町に戻って、冒険者スタイルから普通の服装に着替えたカインとラックは、冒険者ギルドでハニービーの売却を行い、シルと一緒にシルおススメの食事処に向かった。


「ここは、おいしい肉料理を出す店なんですよ。この町でも3本の指には入る有名店です。」


「それは楽しみですね。肉は大好きですから。」


「アタシも肉は好きにゃ。」


そして、シルとの食事会が始まった。


「どうですかフロリダの町は?」


「まだ来たばかりですが、みんな良くしてくれますし温かい町ですね。」


「アタシは仕事終わりのリンゴを食べるのが、毎日の楽しみになったにゃ。」


(お前は仕事終わりの一杯を楽しむサラリーマンか!?っていいたいけど、たしかにここのリンゴは美味しい。それに、本当にここの町はみんなの仲が良い。普通12歳の男女が冒険者をしてたら、一人や二人はうざ絡みしてきたっておかしくない。たしかに俺達ぐらいの年齢の冒険者もいるけど、みんな4人ぐらいのパーティ組んでたからな。それを考えると、リンゴを中心にうまくまとまってる町なんだよな~。だけど・・・)


「そう言ってくれると嬉しいです。ラックさんは同じ獣人だから仲良くしたいし、カインさんは強い冒険者なんで、フロリダにいてくれるとギルドとしても助かります。」


「それも良いにゃ。毎日毎日ハニービーを狩りまくって、夜はリンゴで宴会にゃ。」


「・・・。色々やりたい事もあるからどうなるかはわかりませんが、もうしばらくはここにいるつもりです。もっと大きなシフォンの町や王都のアルプスにも行ってみたいので。」


(過ごしやすい町なんだけど、オルスタインよりも稼ぎが悪いのが問題なんだよな~。ラックのレベル上げという目的があるうちはいいが、それがなくなると一気に目的に合わない町になってしまう。まあ出会いは喜び、別れは悲しみっていうもんな。今はシルとの食事を楽しもう。町を離れる時は、又その時に考えればいいか。)


シルとの楽しい時を過ごしたカイン達は、そのまま教会へ行き、いつものお祈りに向かった。


「シルとの食事は楽しかったにゃ。カイン以外での初めての友だちにゃ。」


「そうだな。友達は大事にしないとな。」


「もちろんにゃ。それでカイン。今日も寄付はしないのかにゃ?」


「そうだな~。現状は特に困ってはないけど、ラックがこの4日で金貨を25枚ぐらい稼いだから10枚ぐらいは寄付しても問題ないかもな。」


「思ってたよりも少ないにゃ。あんなにたくさん倒したんだからもっと稼いでると思ったにゃ。」


「数をこなしても、常設依頼じゃこんなもんだろ。それで・・・どうする?」


「寄付するにゃ。明日からは森でハニービーの巣の捜索にゃ。ハニービークイーンに出会った時に、もしもの事があったらいやにゃ。新しい神の奇跡が何なのかはまだわからにゃいけど、開放する事はメリットしかないのにゃ。」


「たしかにそうだな。前回ギリギリまで寄付してたから金貨10枚寄付すれば次の神の奇跡は開放されるし、今日は久々に寄付するか。」


「やったにゃ。メインイベントが一つ増えたにゃ。」


次の神の奇跡を開放する事を決めたカインは、寄付箱に金貨10枚を放り投げた。そして女神様に祈る。


『フロリダの町に来て初めて寄付させて頂きます。ラックも人型になって強くなってきてますし、俺も戦える相棒ができて助かりました。ありがとうございます。新しい神の奇跡の開放よろしくお願いします。』


すると・・・


『寄付金額が1,024,000ガルを突破しました。神の奇跡Kが開放されます。』


無事に新しい神の奇跡が開放されるのだった。


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