第42話 まさかラックが・・・

「ゲゲゲの鬼君にゃ。アニメは当然わかるにゃが、どんな能力かは・・・。そうにゃ。あのアニメには、空飛ぶ木綿がいたにゃ。きっと飛行魔法にゃ。」


「いやいやラック。そうとは限らないだろ。やっぱり能力は主人公だと思うんだ。あの主人公はいのままに操る下駄を履いてただろ?さすがにこの異世界に下駄は無理があるから、リモコン靴っていうのはどうだ?」


「それはさすがに無理があるにゃ。」


「だよな~。言ってて俺も思った。」


「あれは妖怪アニメにゃ。なら妖怪を召喚できる能力はどうにゃ?」


「なるほど召喚魔法か・・・たしかに妖怪を召喚できれば良い戦力になるな。そらを飛ぶ妖怪を呼べば移動できるし、砂をかけただけで魔物を砂にできるなんてチートにもピッタリだ。」


「大きな壁の妖怪もいるにゃ。」


「なるほど。妖怪召喚か。良いな。」


「じゃあ予想タイムも終わったから詳細を確認するにゃ。」


J『ゲゲゲの鬼君』

懐かしのメロディは妖怪を呼ぶ歌。誰もが聴いた事のある歌と、今もキャラのデザインが現代風になった定番のアニメ。主人公の強さもさることながら、やっぱりヒロインの猫の娘が可愛らしい。要は、今いる猫が人型化できるようになります。


「「えっ・・・」」


「なあラック?俺の目が変なのかな?なんかラックが人型化できるみたい項目を見た気がしたんだが・・・」


「奇遇にゃ。アタシもラックと同じ内容が見えた気がしたにゃ。」


カインとラックは改めて神の奇跡の詳細を見た。


すると・・・


「「まちがいない」にゃ」


間違いなく、神の奇跡の詳細には、ラックが人型化するとあったのだ。


「ラック・・・お前人型になるのか?あの安梅のように猫の獣人になるのか?」


「わからないにゃ・・・いや・・・なんか今頭の中に流れ込んできたにゃ。うん。カインの言う通り人型になれるみたいにゃ。早速なって見るにゃ。」


ラックが気合を入れるとそのまま、ラックを白い光が包み、光が消えるとそこには、カインよりも少し背の低い女の子が現れたのだった。


「これが・・・アタシにゃ?」


「ラック?お前本当にラックなのか?」


カインの目の前にいるのは、まぎれもなく女の子だった。カインが12歳でだいたい身長が150㎝程に対して、目の前の女の子は145㎝ぐらいだろうか。人とは違い、ラックの特徴である黒い耳が、黒い髪の上にぴょこんと生えていた。そして・・・裸だった。


「そうにゃ。アタシ人型になれたにゃ。これでもっとカインの役に立てるにゃ。うれしいにゃ。」


ラックはそう言って、手を広げてカインに抱き着いた。


「ラ、ラ、ラ、ラック・・・その前に服、服、服着てない。裸だぞお前。」


カインに抱き着いていたラックは、改めて自分を見て、カインの言うように、服を着ていない事に気付いた。


だが・・・


「それがどうしたにゃ。アタシはいつも服なんか着てなかったにゃ。」


「いやいや、それはお前が猫だからだろ。人型になったら服を着ろ服を。」


「そんな事言っても服なんか持ってないにゃ。」


「とりあえず俺のシャツを渡すからそれを着ろ。」


カインは自分のシャツをラックに渡す。そしてそのシャツを着てようやく落ち着いて話ができるようになった。


(まじでラックが人型になったぞ。こんな奇跡もあるんだな。それにあのアニメのヒロインならけっこう戦力にもなるはずだ。あっそう言えばラックのステータスはどうなってるんだ?ステータスも変わってるんだろうか?)


カインはラックのステータスを確認した。


名前:ラック

年齢:12歳

種族:猫の獣人


能力:D

成長率:S


レベル:1

体力:E

魔力:E

筋力:E

知力:E

敏捷力:D

耐久力:E

精神力:E

運:S


(年齢が12歳になって、レベルが1になってる・・・成長率もSになってるぞ。まじか・・・これってかなり強くなるんじゃ。レベル1ですでに能力がDだし。最終的に平均して能力がSになるって事だよな。やばいな・・・)


「ふ~。とりあえず落ち着こうか。ラックは人型と猫型は使い分けられるのか?」


「使い分けられそうにゃ。それに・・・あのアニメの猫キャラのように爪を伸ばして敵を切り裂けそうにゃ。」


「そうか・・・。とりあえず明日はラックの服を買いに行こう。いつまでも俺のシャツじゃいやだろうからな。」


「別にいやじゃないにゃ。カインのにおいがするにゃ。アタシはこのままでも大丈夫にゃ。」


「いやいや俺が困るから。」


「・・・わかったにゃ。」


「それでその後、森に行ってラックの戦闘を見てみるか。いや森よりも草原がいいかラックはレベル1だし。」


「これでアタシもホーンラビットをバッタバッタと倒せるにゃ。」


「そうだな。これでラックが戦えるようになったらかなり戦闘の幅が広がる。ラックは多分スピードタイプだから、ラックが前衛で相手を引き付けたり回避したりしてる間に俺が後衛から魔法で攻撃する。それだけでもかなり良さそうだ。」


「それいいにゃ。ようやく冒険者のパーティみたいにゃ。にゃらアタシも冒険者の登録がしたいにゃ。」


「そうだな。一応明日服買った後にでもギルドに行って、バニーさんに状況を伝えるか。」


「わかったにゃ。」


そうして、いつもは猫型のラックと一緒に寝ていたカインだが、今日は人型のラックとともに眠りにつくのだった。



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