第39話 異世界は甘くない!?

「ん、ん~。」


カインが目を覚ますと、いつもの自宅にいた。


「カインが目を覚ましたにゃ。カイン大丈夫かにゃ。」


「ラック・・・俺は・・・」


「カインはアイツをやっつけたにゃ。それで気絶した所をアタシが帰還玉を使って地上に戻ったにゃ。ギルドまで行って助けを呼んだにゃ。バニーがすぐに手配してくれて助けてくれたにゃ。」


「そうか・・・俺は極大消滅魔法を使って・・・。っとあれ?」


「カインは安静にするにゃ。まだ疲れがとれてないにゃ。1週間もカインは寝てたんだにゃ。」


「一週間・・・一週間!?俺一週間も寝てたのか?」


「そうにゃ。その間うんともすんとも言わなかったにゃ。バニーがミルクを出してくれなかったらアタシは飢え死にしてたにゃ。」


そんな事を言っていると、入り口の方で声がした。


「噂をすればなんとやらバニーが来たにゃ。アタシはカインが起きたことを言ってくるにゃ。カインはそこで大人しく寝てるにゃ。」


ラックが入口まで走って行った。


(結果的に俺もラックも無事だったんだな。よかった。やっぱ神の奇跡は偉大だな。あれがなかったら俺もラックも死んでた。俺はまだこの異世界を軽く見ていたのかもな。ゲームみたいな世界で魔物を倒せばレベルが上がって、魔法も練習すれば色んな魔法を覚えて、強くなってた気がしてた。だけど、この世界は俺よりも強いヤツなんかいっぱいいて、油断したらすぐに死んでしまうんだな。もっと慎重にいかないとな。今回はラックに助けられた。何かお礼をしないとな。それと・・・)


「カイン君。ようやく起きたんですね。よかったです。心配したんですよ。ラックちゃんが言ってくれなかったらどうなってたか。ラックちゃんにちゃんとお礼を言わなきゃダメですよ。」


「バニーさん・・・ありがとう。ラックの事知ったんですね。」


「カイン。ごめんにゃ。他の人にしゃべるなって言われたけどあの時はどうしようもなかったにゃ。」


「いやラックは悪くないよ。逆に助けてくれてありがとうって感じだ。」


「ふふふ。実はラックちゃんがしゃべれる事は知ってたんです。他にも多分知ってる人はいると思いますよ。」


「「えっ!?」」


「隠してたつもりなんですか?ギルド内じゃしゃべらないようにしてたかもしれませんけど、街の中じゃ普通にしゃべってたでしょ。バレバレですよ。」


「そうなんですか・・・」


(たしかに建物の中は意識してたけど、他は特に気にしてなかったな。まあでもしゃべる猫が気味悪がられると思って隠してただけだから、バレても何もないなら問題はないんだけど。)


「バニーさん。ダンジョンの入り口からここまで運んでくれたってラックから聞きました。ありがとうございます。」


「いいんですよ。ラックちゃんから状況は聞いてますが、ボスを倒した後にそれより強い魔物が現れたって本当ですか?」


「はい。エクストラステージってその魔物は言ってました。」


「本当にしゃべってたんですね。」


「はい。なんでも知力が高い魔物は、人の言葉を話せるらしいです。」


「なるほど。でその魔物を倒したんですよね?魔石かなんかは持ってますか?」


(倒したけど魔石は取ってないな。というか倒した後そのまま気絶したからわからないな。)


「ラック。あのゴブリンの魔石って持ってるか?」


「持ってないにゃ。あの時は急いで戻らにゃきゃって思って、すぐに帰還玉を使ったにゃ。」


「だよな~・・・」


(もう残ってないだろうな・・・あれ程強い魔物の魔石か・・・もったいない事したな。いや命が助かっただけでももうけもんか。あっ!そう言えば帰還玉を使った事バニーさんに謝らなきゃ。)


「バニーさんすいません。帰還玉使っちゃいました。100万ガルちゃんと払いますので。」


「いいんですよ。あれのおかげでカイン君とラックちゃんが助かったんですから。それにエクストラステージの事をちゃんと調べれてなかったギルドのミスもありますしね。逆に生きて帰ってきてくれて私もうれしいです。」


「バニーさん・・・ありがとうございます。バニーさんのおかげで俺もラックも死ぬことなく生きる事ができました。」


「うんうん。生きていればこそだからね。今日は私がご飯作るけど、しばらくは安静にしてなきゃダメよ。調子が戻ったらギルドに来てね。ダンジョンの事とか色々聞かないといけないし、それに、ちゃんと完全攻略したなら約束も守らないといけないから。」


「ありがとうございます。」


バニーはその後、軽めの食事を作りギルドへと戻って行った。


「ラック・・・俺異世界を甘くみてたみたいだ。」


「そんな事ないにゃ。カインもアタシも生きてる。それでいいにゃ。又一緒に冒険して、バカ話して、神の奇跡の予想して楽しく過ごしたいにゃ。」


「そうだな。」


(反省して次に活かせばそれでいいか。結果としてダンジョンは完全攻略できたんだ。これから気を付ければいいんだ。)


「ラック・・・これからもよろしくな。」


「もちろんだにゃ。カインの相棒はアタシしか務まらないにゃ。」


こうして、カインとラックは今後も相棒として、この異世界を生きていく事を誓うのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る