第25話 女神様に寄付をして新しい神の奇跡を

カインの家にお風呂ができてから、カインの生活は快適になった。それにともなって日々の行動も変わって行った。


朝から森に出かけてゴブリンを倒すのはもちろんだが、基本的に魔法は使わずに剣を使って倒していた。お金も順調に貯まってきたので、より強い武器へ装備品も変えていた。今まで使っていたのは性能がDの鉄の剣だったが、今使っているのは、同じ大きさの鋼鉄の剣だ。性能はCで、金貨30枚もしたが、安全には変えられないので迷わず購入した。


ゴブリンをある程度倒したら草原に移動して魔法の練習だ。カインは、火、水、風、土の初級魔法の他に、光魔法と氷魔法の詠唱魔法を覚えていた。光魔法と氷魔法の初級魔法は、魔法屋でライトヒールとアイスアローを購入していたが、後日、友人に頼まれたと嘘をついて他の初級魔法の魔法書も購入した。


魔法の訓練を続けてわかった事が、詠唱魔法は使い続けると、詠唱を短縮して使えるようになるという事だった。


今までは、「自然界に存在する火よ。我の元へ集え。そして目の前の敵を燃やしたまえ。ファイアーボール。」と詠唱して魔法を使っていたが、何度も訓練する事で、今は、「火よ。我の元へ集え。ファイアーボール」と詠唱するだけで使えるようになった。最終的には「ファイアーボール」というだけで使えるようになるだろう。


魔法の訓練といっても魔力が無限にある訳ではないので、詠唱魔法を半分、無詠唱魔法を半分という感じでカインは訓練していた。草原にきているのは、無詠唱魔法の中でも魔物の位置を判別する気配察知をどうにか使えるようにしたいと思ったからだ。


「よし。今日も気配察知の練習だ。体内の魔力を薄ーく周囲に伸ばすのはできるんだけどうまく制御しないと消費魔力が半端ないもんな。ホントにうすーくうすーく伸ばすイメージでっと」


カインは体内の魔力を周囲に広げていく。広げた魔力が生物を捉えると広げた魔力が反応する仕組みだ。どこに生物がいるかはわかるが、その生物が魔物なのか、人なのかまではまだ判断がつかなかった。現に近くにいるラックに反応はするが、目に見えているからラックとわかるだけで、何かがここにいるという事までしか現状はわからなかった。


(ふー。このままじゃまだ実践で使えないな。集中しないと使えないのと、森で使った所で多くの反応があるだけだもんな。理想は、常に発動できてどんな魔物かわかる事だけど・・・は~。なかなか難しいな。この世界の魔法使いってどうやって魔法の訓練をしてるんだろ?やっぱ師匠とか学校とかかな?)


「そろそろ魔法の訓練は終わりかにゃ。」


「ああ、そうだね。今日はそろそろ魔力がヤバいから、この辺で切り上げようかな。」


「わかったにゃ。じゃあ教会に向かうにゃ。今日は新しい神の奇跡をするにゃ。」


「ああ。そうだね。剣に魔法書に出費が激しかったけど、その辺も落ち着いて来たしそろそろ新しい神の奇跡がほしい所だしね。」


「なら早速行くにゃ。次の神の奇跡は何かにゃ。楽しみにゃ。アタシは白猫がほしいにゃ。」


「いやいやさすがに猫はもう来ないでしょ。俺的にはヒロイン枠としてキレイな女性が欲しい所だな。」


「前も言ったにゃが、10歳のセリフじゃないにゃ。」


「いいだろ。妄想するぐらいは。」


「はいはいにゃ。もたもたしてないで早くいくにゃ。」


(久々の神の試練の解放だな。次はどんなチート能力が解放されるんだろうか・・・)


街に戻ったカインとラックは、ギルドによっていつものように報酬をもらい、教会へと向かった。


「今日はいくら寄付するのかにゃ。」


「金貨10枚寄付しようと思ってるよ。次の解放には金貨5枚あればいいだけど、その次もあるからね。昨日と今日のゴブリン討伐の報酬が金貨10枚ぐらいだったしね。」


カインはポケットに入っている金貨10枚をとりだして、寄付箱に放り入れた。そして女神像に祈った。


「女神様。最近寄付できていませんでしたが、今日は寄付させていただきます。新しい神の奇跡よろしくお願いします。」


『寄付金額が128,000ガルを突破しました。神の奇跡Hが解放されます。』


(よしよし。新しい神の奇跡が解放されたぞ。次の解放は25万ガルか・・・どんどん大変になってくるな。25万まではゴブリン討伐でもなんとかなるけど、そろそろ次の場所も探さないとな。ダンジョンなんかいいかもしれないな。まあソロなのがちょっと不安だから今回の神の奇跡でパーティメンバーなんかが召喚されれば悩みが一気に解決するんだけど・・・)


「カイン。どんな神の奇跡なのか気になるにゃ。急いで家に戻るにゃ。」


「わかってるよ。そう焦るなよ。」


「カインだって早く知りたいのは知ってるにゃ。顔に書いてあるにゃ。」


「うっ。そりゃまあそうだけど。」


教会へのお祈りが終わった後はダッシュで家に戻ってステータスを確認するのが、異世界の楽しみの一つだ。料理をするのも面倒なので、いつもの屋台で肉串を買い、家へと急いで帰った。


家に帰ると本日のメインイベント、ステータスチェックの時間だ。ステータスオープンと唱えて自分のステータスを確認する。他の人には見えないのだが、どういう訳かルックには、俺の前に出てる半透明のステータスの版が見えるらしく、ラックとともに新しい神の奇跡を確認したのだった。


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