Reglus Recollection Online〜初VRMMOを楽しむはずが特異点扱いされてしまった件〜
りょ
第1話 最悪なスタート
Reglus Recollection Online。
通称
レグルスと言う世界を舞台にした、この超大型VRMMOはフルダイブ技術により、実際にゲームの世界に入り込む事が可能になった。
プレイヤーは王国、帝国、共和国の三国からスタート地点を選び、冒険を始める。
モンスターを倒すも良し、アクセサリーを作るも良し、狩りや釣りをするも良し。その全てはプレイヤーに委ねられる。
先行プレイを終え、遂に今年の2月から正式リリースされた。
******
『さあ、貴方の降り立つ地を選ぶのです』
目の前の女性がそう言って両手を広げる。女性と言っても彼女は女神のうちの一人らしい。ゲームの説明書に書いてあった。
高校受験も無事終わり、合格祝いとして買ってもらった最新VR機。そこで最新作のR2Oを起動してみたのだが、友人の言う通り、提示された三国からスタート地点を選ぶみたいだ。
「うわー、どうしよっかな」
『貴方の好きな地を選んで良いのですよ』
「あざます」
ゲームだとわかっていても、目の前にいる女神を脳は本物だと錯覚している。それ程までにフルダイブ技術が完成されているのだ。
「えっと、王国は戦闘と生産職のバランスが良くて、帝国が戦闘職、共和国が生産職メインでやりやすい……」
『その他にも立地や気候、動植物にも細かな違いがあります』
「いや悩むな、もう少し考えて良いですか?」
『ええもちろんです。好きなだけ考えてくださいね』
…………
………
……
あれから一時間弱悩んだ。受験終わりという事もあり、俺には結構な時間があるので、悩みに悩めた。
そもそも三国に魅力が同程度あるのがずるい。どこからでも楽しめるだろうし、3アカウント作って同時にスタートしたい。
ただそんな事は出来ない。
「えーどうしよ〜」
『……』
なにか静かだなって思ってたら、女神様の顔が死んでる。そりゃ1時間も拘束されてたら誰でもそうなるか。
まあでもゲームだし。
『……っと決めろや』
「え?」
『さっさと決めろや!』
「ええ!?」
『1時間も悩んでるんじゃないよ!』
「でもさっきいくらでも考えなって……」
『限度があるでしょう!』
そんな事言われてもまだ決まってないし……。
『もう良いです。貴方の降り立つ地は私が決めます』
「……え?」
すると突然足元の床が無くなり、浮遊感が訪れる。下を見ればそこには何もない。
『落ちなさい』
「はぁ!?」
女神の一言で一気に落下する。雲よりも高い場所だったのか、自分の元いた場所が見えなくなる頃には、下一面が真っ白で塗られていた。
「ああぁあ!?」
雲を突き抜けると今度は暗い緑で彩られている。多分地面だ。激突したら死……いやゲームだから死なないか?
「いやでも怖いな!?」
落下し続ける事数十秒。一分にも満たないその時間がやけに長く感じられた。
「あんのクソ女神、いきなり落とすなんて覚えてろよ! 一発殴ってやる!!」
女神への呪いの言葉は通じていないのだろうが、吐き出すだけでも気持ちが楽になる。
『ふふふ……』
「ん?」
『あなた、気に入ったわ』
「だ、誰?」
『あなたに幸あらんことを』
さっきの女神とは違う女性の声。会話ではなく一方的に話しかけられただけで何がなんだかわからない。
「なんだこのクソゲ––」
言い終わる前に俺は地面と激突した。
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