41話 ダンジョン発見?

その後、余ったセルバの肉をエミリアに冷凍してもらう。


凍ってさえしまえば、後は寒いのでそうそう溶けることはない。


すると、そのタイミングでユキノが帰ってくる。


「ご主人様ー!」


「おっ、帰ったか。全く、どこまで行ってたんだ?」


「ただいまです……じゃなくて! ダンジョンを発見しました!」


「なに……詳しい話を聞こう。全員、火の回りに集まれ」


そして獣人達に見張りを任せ、主要メンバーで話を聞く。

アイザック、カリオン、俺、エミリア、ニール、ユキノだ。

ついでに朝飯が済んでない者は、食べながら聞く。

ちなみにフーコは、また俺の膝で寝ていた……こいつ、なにしに来たんだ? まあ、可愛いからよしとしよう。


「えっと、昨夜はずっと森を探索してたんですよー」


「ああ、それは知ってる。まあ、随分と長かったが」


「えへへー、狩りに負けたのが悔しかったので。それで、ここから二時間くらいの場所にそれらしきものを発見しました。ひらけた場所に不自然に大きな洞窟がありました。後ろには続いてないので、中は異次元になっているかと」


「近くに何かいたか? ダンジョン前には、ゲートキーパーと呼ばれる者もいたりする」


「そこまでは近づいてないんで、何とも言えないですけど……何か、嫌な感じはしましたかねー」


ダンジョン、それは神の贈り物、または試練とも言われたりする。

中は異次元になっており、難易度によって広さや階層は違う。

そこでは魔物や魔獣が跋扈し、宝や財宝を狙いに来た者達を待ち受ける。

そして、レアモノと言われるダンジョンにはゲームキーパーと言われる門番がいる。


「なるほど、お前の嫌な予感ってことは当たりそうだ。ならば、レアモノの可能性が高いか。そうなると、必然的に難易度も高くなると」


「どうします? 出直しますか?」


「……いや、下手に人数を連れて行っても良くない。ゲートキーパーがいた場合、無駄な犠牲が増えるだけだ。今いるメンバーで、ゲートキーパーだけは倒しておきたい。あいつがいた場合、そこは逃げられない結界となる」


「そうですねー。それじゃあ、ここに荷物を置いておくとして……誰でいきますか?」


「アイザック、俺、ユキノ、エミリア、ニール……獣人達には荷物を見てもらおう」


すると、俺の膝で寝ていたフーコが暴れ出す。


「……連れてけって?」


「コンッ!」


「……仕方ない連れていくか」


「コーン!」


守った末に答えを出す。

こっちに来てから、大したことしてないしな。

外にも慣れてきただろうし、ここらで自信をつけさせるのもありだ。


「いいんです?」


「まあ、甘やかし過ぎるのも違うしな。フーコ、ただし俺の命令は絶対だ。そして、俺達が助けてくれると思うなよ?」


「コンッ!」


その顔は『わかってるもん!』と言っていた。

どうやら、銀狐としての誇りは失ってないらしい。

これなら、連れて行っても良いだろう。


「それじゃ、決まりだ。カリオン、すまないが後を頼む。いつも悪いな」


「はっ、お任せください。いえ、我々では足手纏いになりかねないので。もっとお力になれればいいのですが……」


「いや、十分だ。警戒や索敵を行うのは神経を使うだろう。それに、人には向き不向きがある。お前達はお前達のできること、他の所は別の奴らが補う。俺が目指しているのは、そういう暮らしだ」


「主人……はっ、我々は我々にできることを全力でいたします」


「ああ、それでいい。んじゃ、休憩したらいくとするか」


すると、ユキノが身体を寄せてくる。

ふわっと甘い香りが鼻をくすぐった。


「な、なんだ?」


「えー? ご褒美はないんですかー? 私、夜通しで探索してたんですけど?」


「あぁー……なにがいいんだ?」


「では、膝枕を要求します!」


「へいへい、わかったよ」


「わーい! それでは失礼して……ぬふふ」


俺の膝に頭を乗せたユキノが不気味に笑う。

なんというか、美少女が台無しだった。


「変な笑い方をするな」


「し、仕方ないじゃないですかー」


「むぅ……私だって頑張ったのに」


「あん? エミリアどうした?」


「なんでもありませんわ!」


そう言いながらも、何故が俺にを寄せてきた。

そして、フーコまでもが。

終いには、ニールが何やらそわそわしている。


「へへっ、兄貴は大変っすね」


「主人は苦労しそうだ」


「……どういう意味だ?」


俺の問いに、二人が苦笑するのだった。


結局、俺はその場から一歩も動くことができなかった。

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