第7話 胃腸炎

 一番下の子が胃腸炎の下痢嘔吐から3日後、長男と私が胃腸炎となる。


 発症2日目、超ピンチ、一番下はアイツが遅れて送迎してくれる。


 飯は、レトルト粥があるが心もとない。ゼリー飲料は大量にある。


 胃腸炎の恐ろしいところは、感染力が強く家族が複数人同時発症することである。

 トイレを取り合い、吐くだけならゴミ箱へである。


 何度もお風呂場で洗ってから洗濯物を回し、浴室乾燥はフル回転、動けなくとも動かなくては、アレと重なってないだけ、まだましというものだ。

 匂いが残るフロ場のカビ殺しを行い、パイプドロドロ液で掃除を完了する。

 

 私はレトルトがゆに卵をぶち込み、気合で栄養を摂る。

 吐けばパンでもなんでも体に入れる、今日一日耐えれば、明日はアイツが休みを都合できる見込みだ。

 

 アー、立つのがしんどい。


 長男の声が聞こえない2時間に気づく。

 食事をとらない……ゼリー飲料とスポドリでは限界のようだ。

 体重を測るとマイナス2kg、元の体重は30kgもないのに……

 むう、今日は日曜日だ休日救急診療まで約8kmほどの距離、私が元気ならば電動自転車で問題ないのだが……

 タクシーで行くとして、真ん中をどうしたものか?

 元気で学校から家に帰ってくるまであと4時間。私も長男も下痢嘔吐は一段落したが、体調が急激に悪くなっている、脱水なのは明らか。


 となりの、ママ友に事情を連絡して頼る、二つ返事で「いいよ」と返事が来る。

 気遣いの長文が後ろに続いているが返事する気力が惜しくてスタンプ一つ返して、病院の準備をする。 

 玄関には、「るすばんよろしく」と書き残しタクシーを待つ。

 

 タクシーから降り、歩くのがおぼつかない長男に肩を貸すように移動する。背もだいぶ伸びてきたと実感する。

 後で気づいたが、この時外が暑いの寒いのかすら分からないほど、私も弱っていた。


 病院で待つ、待つ、待つ。長男がトイレに行きたいが立てない。私もいっぱいいっぱいで抱っこして連れて行けないと看護婦さんに助けを求めた。

 ついでにやった尿検査の結果が悪く、早く診てもらえた。

 長男は点滴をうけてると、黙りこくって、丸まって、シクシク泣いていた。

 点滴の前に血液検査の血が取れず刺されまくったので仕方ない。

 点滴が半分落ちた頃、ようやく口を開き始め、明るい声色で涙ぐんでしまう。

 私も点滴してもらいながら横に付いている。

 帰る頃には、私も長男も信じられないぐらいしっかしりた足取りになった。ホントに医療関係者様様に感謝である。


 家に帰ると、真ん中が元気にゲームをやっている。アイツがママ友の家から回収してくれたのだ。さらに幼稚園へ一番下を迎えに行ってくれて、みんな元気で勢ぞろいだ。


 今晩は、カブの根も葉もを細かく刻んで味噌で味付けた卵雑炊。元気な人には、ブタショウガ焼き(チューブしょうがは最高だ)と白菜の塩もみサラダと白飯である。


 味がしっかり分かり、お腹に暖かさが染み渡る。


 あいつは、リンゴを皮ごとピラーで削いだ、薄いリンゴを小鉢に山盛りにしたのを作ってくれた。

 うまい、軽くて、しんどくても食べやすい、すぐ茶色になる以外はおススメです。

 

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