ドリーム・カタルシス

杉 日彩

プロローグ

―――これは終わらない悪夢のろいであり、けれどすでに終わっている悪夢しんじつである。

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俺はいつも同じ夢を見る。

自分の手のひらから全てが零れ落ちていく夢。

全てが薙ぎ払われ、殺され、引き離されていき、もがけどもがけど苦しむばかりだ。


おれのことを温かく抱きしめてくれる■■■■。

「…だけでも…げ…」

「いい…だか…ね」

かすかに響く誰かの声。懐かしく、温かく、そして悲しく感じる声。

眼前には轟々と炎が広がっていておれはいつも泣いている。


こわい

にげたい

いえにかえりたい

……


泣いていると誰かがおれをつかみ上げさらっていく。

ずっとずっと、褪めない夢を見ていた。



何も感じたくない

何も見たくない

何も聞きたくない


消えて、しまいたい


…おれは、絶望に打ちひしがれていた。


この夢はいつも同じ一言で終わる。

俺は絶望から助け出されるように夢から覚めていく。

「■■」

「助けに来たよ。」

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結局俺はいつまでたってもこの夢が何なのかわかっていない。

そもそも起きた時に記憶に残らないのが問題なのだが…


いつか分かる日がくるのだろうか

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