五月雨帳

五月



― 共鳴 ―


何かが聴こえて、


私が鳴いて、


誰かが応える。


それは拡がり 響き渡って


世界のまばたき一瞬満たす。








― 記憶1 ―


想い出は、


風に乗った砂のように


君を連れて昨日の向こうへ。


過去の名前で、此処より先へ。








― 現 ―


動く僕らは誰か、


時間の流れが見た一瞬の幻。


いなくなったあのこは一足先に、夢から醒めて。


ここより帰れない僕らは


少し、泣くのだ。








― 翼 ―


ひとつ、羽でもはえたら


行ってみたい場所がある。


君のかわりに、世界の果てへ。


ふたつ、羽でもはえたら


僕はここへと戻らない。


空の滝でも眺めたら、一足先に


花でも育てて君を待とうか。


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