第46話 冥府(1)
「うぎゃぁ、あああっ!」、
「ぎゃぁ、あああっ!」と。
僕が余りにも叫び続けるから。
「ちょ、ちょっとウォン。もうやめてよ。サラの健ちゃんに酷いことをしないでよ。おねがいだよ」と。
サラが我に返り、悲しい声音で、ウォンに対して命乞いをしたと思う?
僕自身もこの時は、朦朧とした意識の中でいたから余り記憶がない。
だから僕が今から話していくことは間違えも多いいかも知れないのと。
他人……。
そう、この集落始まって以来の騒動の鎮静化された数日後に。
僕は集落の者達から聞いた話を纏めたものだから、間違えがあればごめんなさいと。
僕が最初にみなさんへと謝罪を入れたところで話しを元に戻すけれど。
今にも他界しそう……。
虫の息である僕を凝視してサラが、暴れ狂う覇王ウォンへと僕の命乞いをした。
でもあいつは、サラの嘆願を聞き入れる訳はないから。
「煩いサラ! 黙っていろ!」
ウォンは直ぐにサラの嘆願を拒否する。
「おい! アイカ! お前! 何時までボォー! としてるんだ! ウォンをお前が力づくで止めろ! でないと? 家のひとがこのままだと死んでしまう! だから止めろよアイカ!」
サラの嘆願をウォンが拒否をした。
だから今度はウルハが呆然としつつ、事成り行きを見ていたアイカの奴へと。
このままだと僕がウォンの刃に倒れ、他界をするようになるから。
ウォンの奴を力づくで止めろと告げる。
でもさ、アイカ自身が動揺、困惑している。
そう、アイツ自身がパニック状態に陥り、どう対処していいかわからない状態へと陥っていたらしい。
後日、アイカのバカが僕へとそう言って、言い訳をしてきたから。
多分、そうなのだろうと思う?
只アイカの奴が立ち上がり、謀反を起こしたウォンを成敗──!
あの世へときっちりと引導を渡していれば。
あの、内戦も直ぐに鎮静化されていたのにさ。
アイカの奴が、ウォンに対して情を入れているから。
何時まで経っても混沌は収まらない。
だってウォンの奴はあの時?
アイカが何も告げ、諫めないから好き放題して、叫んでいたと。
みなが僕に教えてくれたと言うことは?
アイカはウルハの嘆願を聞いても。
「えっ、あっ、うん」
酋長らしくない振る舞いでいたらしい。
だからウォンが余りにも暴君──!
みな誰もが、あいつが怖いから、逆らうこともできずにいた中で。
勇気を振り絞り! 集落内の決め事を遂行しようと立ち上がった僕が凄いと。
みなが思ってくれたらしくてね。
「ウォン! もう辞めろ!」
「お前のしている事は完全に反逆行為だ!」
「ウォン! 男王と酋長の指示に従え!」
「俺は男王を支持するぞ!」
「私も健ちゃんを支持する!」
「ウォンは謀反人だ!」
「お前は大罪人だ!」
「この集落の裏切り者だ!」
「出ていけ、ウォン!」
「お前は、この集落に必要ない!」と。
本当に情けない僕……。
この集落始まって以来の最弱男王である僕のことをみなは支援してくれると叫んだらしい、と言うか?
僕の薄れゆく意識の中でもちゃんと聞こえてきたような気がする?
だからあの時の僕は、薄れゆく意識の中で達成感があり、嬉しくて仕方がなかった。
だから僕は、どうせ死ぬのだから。
最後にもう一花咲かせようと。
僕は心に決め、命を投じる決意を新たにした。
覇道ではなく、王道を貫き通すために頑張ることに決める。
◇◇◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます