第42話 健太立つ! (1)

「うぅ、ううう」、


「ッ……」、


「はぁ~、よーし! 立てた!」


 僕は、このシーン! と静まり返った──静寂な空間の中で、独り言を呟きながら。


 自身の身体中は痛いし、足取りも重たい。


 それとウォンのことが怖くて仕方がなかったけれど。


 自分自身との対話──!


『おい! 僕?』


『ん? 何だ俺?』


『このまま、サラちゃんやウルハさん……。そしてアイカさん。それとこの場に今はいないけれど。エリエさんやプラウムさん、シルフィーの奴をウォンさんへと素直に渡す方がいいのかな?』と尋ねた。


『お前もしかして、そんな情けないことを俺にわざわざ尋ねてくるのか?』


『うん、だってわからないもの』


『お前なぁ、阿保か? そんなこと俺に尋ねなくてもわかることだろう? 自分の大事な物、家族を他人にやるって、お前は頭が弱いのか?』


 僕は自分に阿保かと言われた。


『えぇ、でも? ウォンさんに殴られると。死ぬほど痛いんだよ。僕……』


『嫌~、それでも、自分の家族を他所の男から。自分の命を投じてでも守るのが普通だろ? お前の親父さんだって命懸けで働き、家族を養ってきたのだろうに……。それにいくらお前が産まれ育った平和ボケな国日本でも、他人に家族が襲われ、危害を受けそうになったら、男! 一家の大黒柱は! 命懸けで危害を加えようとする奴から家族を守るぞ! それが相手を殺傷する事になろうとも。自身の身を投じて不審者から家族を守ろうとするのに。健太、お前は、それができないのか?』と嘲笑いされた。


『いや、僕自身、あのね? 僕もそう思って先ほどウォンさんに逆らい、楯突いたの。でもね、一方的に殴られ、蹴られるだけ、僕は相手から軽くあしらわれたの。だから僕怖いんだよ。ウォンさんのことが。だから僕が、僕に尋ねたんだよ。どうしたらいいかと?』


『だから俺に尋ねるなと言っているだろう、俺? 俺がお前なならば死んでもいいからウォンに一矢報いてやる!』


『えっ! 僕、そうなの?』


『ああ、当たり前だ! 俺はお前の心の中の強気なのだから。自身の頭を使い。玉砕覚悟でウォンに報いてやるよ! どうせ生きていても、自身の大事な宝物である妻をウォン強引に奪われ。毎日あの男に自分の妻達は種付けされ、嬌声を夜明けまで漏らし続けるのだぞ。それを耳にでもしてみろ! 俺ならば必ず気が狂う! だから俺はそんな悲しい思いを後からするぐらいなば。ここで死を選ぶよ!』


『そ、そうなんだ?』


『当たり前だ! 俺は侍の国! 神風特攻隊の国! 守るべき女のためならば国を捨ててでも命を平然と捨てることが可能な民、日本人だ! そして日本人としての誇りもある。だから俺自身が英雄になれないとしても。英雄気取りでいるウォンあいつに、命懸けで一矢報いてやる! そしてアイカのバカに凄い夫だったと。子供達に言わせるぐらいの男になって散ってやるさ、俺は!』


『えっ! アイカさんに子供って? アイカさんのお腹に僕の赤ちゃんがいるの?』


『知らん』


『いや、知らんって……。今言ったじゃない、僕? アイカさんが子供達に説明って?』


『ああ、あれか? あの件か?』


『うん、その件だけれど』


『ああ、アイカとお前は床を一緒にしているのだから。アイツのお腹に、お前の子供がいても不思議ではないだろう? それに先ほどウォンがサラのお腹を思いっきり殴ったけれど。もしもサラのお腹の中に、お前の子供がいたら。今の一撃で流産は確定だな』


『えっ、うそ?』


『うそって、お前も可笑しな事を言うな? こんな医療設備もない太古の昔みたいな環境で流産しかかっている子供を止める事等出来る訳ないだろう。それなのにお前は、ウォンあいつの事を放置するのか?』と。


 あの時の僕は、僕自身と対話、問答を何度もしてね。


 僕が日本人あることの誇りを高め。


 ウォンへの憎悪を極限まで募らせることに成功した。


 だから僕はもう一度立ち上がり、ウォンに対して、もう一度恐れ慄くことをしないで向き合い!


 睨み合い! 


 ガンの付け合い! をした。



 ◇◇◇



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