第13話


 それらのアップされた動画類は、どれも2年前ほどの物だった

 確認のために海外サイトを見てみれば、この『世界線』でも発生していた

 世界的流行の 感染症影響で、行動制限を行っていた様だった

 日本でも2年間、水際対策で訪日観光探索者規制がされており国内観光地は

 苦境に立たされていた

 それも今年に入ってから規制緩和された様で、感染症前の水準まで観光客は回復 し、国内観光地は 活気づいている様だ

 追い風の様にこちらの『世界線』でも円安の影響で上半期だけでも日本を訪れた

 訪日観光探索者数は1000万人を突破する勢いだ

「・・・で、この大多数の訪日観光探索者が国内観光と国内『ダンジョン』

 探索動画を アップして収入を得ていると。

 訪日観光探索者の増加で海外資本が日本市場の 開拓に動いてるって事か」

 江崎は、海外サイトを閲覧しながらそう呟いた



 日本国内『ダンジョン』でのレアアイテムや未知の素材は、海外

『ダンジョン』より 絶望的なまでに低い・・・

 と以前佐藤達が話していた事を思い出す

 だが、訪日観光探索者は日本国内の四季折々の景色を楽しむ事が目的と、

 防具類が揃っていれば『海外ダンジョン』よりも難易度も危険度も低く

 季節により 出現するモンスターの種類が変わるという二面性がある日本国内『

『ダンジョン』は、 訪日観光探索者の興味を 大いに惹きつけるモノのようだ

 日本国内『ダンジョン』で出没するモンスターは、『海外ダンジョン』では

 出現しない

 種類も存在しているため、日本国内『ダンジョン』探索動画はコンテンツとして

 高い需要があるようだ


 さらに訪日観光探索者は、海外『ダンジョン』探索で高収入を得ている者が多く、

 日本人探索者では手が届かない高額一式装備などを手に 入れる事が出来るそうだ

 彼は念のため探索者一式装備類も検索してみたが、かなり絶句するような

 金額が数多く並んでいた

「うわぁ・・・何なんだこの高っかい装備一式は!!

 おいおい、剣1本で500万以上してるじゃないかよ!?嘘だろ?」

 彼がそうぼやきながら探索者装備類を閲覧する

 この『世界線』は江崎がいた『世界線』と同じく現代社会

 ベースとなっているため、ネット通販でも探索者向け装備類が

 購入出来るようだった


 彼が検索で閲覧しただけでも、ラノベやRPGゲーム系などで

 登場するド定番系の武器や防具類、 銃火器系全般、

 中二病御用達の特殊効果付きの特殊な形状の武器や

 防具類が販売されていた

 種類の中には特定の大型モンスター討伐仕様の武器や防具もあった

 どれもモンスター素材を使った頑丈な物が多い様だった

 そしてどれもが予想以上の高額な商品ばかりだったが、金額がおかしいのは

『世界線』のせいだろうと考えを切り替えた

「安い中古装備品でも約700万円、新品に至っては最低でも4000万円・・・

 そりゃあ、日本探索者では手が届かないわな」

 彼は、思わず溜息をついた

 江崎は、ざっと日本探索者が買える装備品は

 幾らなのか検索をかけてみると出てきた金額に絶句する事になる

 日本探索者が買える装備品は中古でも7・80万円台が主、

 しかも新品も合わせれば1億円近く必要になる事がわかった


 特に真冬でも活動出来る冬装備一式揃類というものは、

 その倍の値段がする様だった

 所謂、高収入の海外探索者しか購入出来ない装備類は最低でも

 3億5千万以上はするらしい

「・・・海外探索者は、まさか全員が全員イーロンやゲイツ並みの

 金持ちって事なのか?」

 江崎は、思わず素っ頓狂な声をあげた

 検索を続けていると、海外探索者の収入に関する記事が出て来た

 どうやら訪日観光探索者の中でも最上位層は、

『トップ・オブ・ザ・クラス』と言う富裕層に属している様だ。


 企業スポンサーなどからの収入が大半だが、1件当たりの高額報酬で人気を博す

 海外『ダンジョン』探索動画投稿者も存在する様だった。

 その富裕層の訪日観光探索者は、最近では季節によって

 出没するモンスター種類が変わるという二面性の日本国内『放置田ダンジョン』

 注目が集まり、海外では人気が上昇しているらしい

 話題となり人気が出ているのは、春から夏期間にしか出没しない日本限定の

 希少モンスター、秋から冬期間でしか出没しない日本限定の

 希少モンスターなどとの戦闘動画だ

「・・・なるほど。

 訪日観光探索者は、季節によって出現するモンスターの種類が変わる

 日本国内『ダンジョン』を目的として来日しているのか。

 海外では出現しない、日本にしか居ないモンスターの出現情報とかも

 重要な情報の一つだな

 ・・・ん?『百鬼夜行』? 『逢う魔時』? 」

 彼はそう呟き、気になる関連記事をクリックした

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