【紙上談兵】はしませんよ~趙括に転生したけど、長平と趙国はなんとかします~
信仙夜祭
第1話
「
王命を受け取る。つい、笑いが込み上げてしまった。
『ふっ……。ついに俺に出番が回って来たか』
「はっ!」
母親は、オロオロしているだけだ。
息子の出世を喜ぶ場面だろうに……。
「さて……、出発の準備をするか」
武器と防具の確認をする。
全部、国宝級の一品で揃えた、俺専用の武具だ。埃を被っていたけど、ついに使う時が来たのだ。
「どれにしようかな~。全部は持って行けないな~」
とりあえず、深夜になるまで選ぶことにした。
明日出発だというのに、夜更かししてしまった。
王への挨拶はない。
家からそのまま戦場に向かわないといとけない。趙の考成王からの命令だった。
あの馬鹿王は、父から煙たがれていたしな~。家同士の仲が悪い。
布団に入り、そのまま眠りについた。
悩み過ぎたのかもしれない。頭痛がする……。
起きているのか、寝ているのか……。
まどろみの中で、何かを思い出して来た。
「戦国策……。史記……。シミュレーションゲーム?」
苦しみの中、私の前世の知識が、少しだけ蘇った夜だった。
朝起きて、確認する。
まだ、朝日が昇った時間なので、静かだな。
「俺……、
ここで母親が来た。
「……括。準備は終わっているのですか?」
この母親は、父の
少し考える……。
「出発を、一日延ばします」
◇
さて、どうしようか……。
このまま行くと、俺は秦の白起将軍に殺されて、40万人の趙兵を埋められてしまう。
それで趙国の衰退が、始まってしまう。
「秦の始皇帝って、まだ邯鄲にいるんだよな……。それと、
出発前に確認することにした。
まず、秦の人質の
こいつの扱いを間違って、趙国は滅びたんだ。
「この時期は、まだ呂不韋が世話してんだな……。そうなると、落ちぶれるのは長平の後からなのか?」
「どなたですか?」
女性が一人、出て来た。
多分、始皇帝の母親に当たる王太后になる人だ。
「呂不韋はおられますか?」
「……子楚さまと共に出かけております」
まだ、大丈夫そうだな。
「私は、趙括と申します。これから秦国との戦いに赴きます。その前に秦人に挨拶に来ました」
「え……? 大将軍?」
俺がそういうと、
まだ、幼いな。それと、疑り深い性格にはなっていないみたいだ。
その後、嬴政の家を後にした。
次は、藺相如だ。
病気で臥せっていたけど、会ってくれた。
「何しに来られたのかな?」
「地図を持っていたら、欲しいんすけど……」
藺相如は、目を見開いて、長平周辺の地図を広げた。そして、平地戦を避けるように依頼して来た。
「……なるほど。
「頼む。長平で負けると、次は邯鄲だ。そうなると、遷都するかもしれない。邯鄲を落とされたら、趙国は終わりだ」
長平で負けても、秦国は内輪揉めで邯鄲は落とせないんだよね。言わないけど。
「分かりました。魏と韓、楚に連絡してみます。合従軍が起こせれば、秦軍を追い返すこともできるでしょう」
「おお……。
評価変わってんじゃん。
歴史を変えられるのであれば、まだ間に合うか?
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