時間の長さが変わる世界でのカイトの日常
難波とまと
第1話 サンドイッチを食べる
ここはお金が存在しない世界。良いことをした分、報酬として翌日の時間の長さが増える世界。
『あれ?お金を払わずに買物をして食べるってどうするんだ?』
飲食店を店外からジロジロと見て回っていたが、カラクリが解らない。
『通常、お店で食べたときはお金を払う。良いことをするって、どうしたらいいんだ?…お皿を洗うのか?』
『毎回お皿を洗うのか?何違うような…。レストランを眺めているが、食後にお皿を洗うような感じはない。そうだよな~』
『この状態で困るのは間違った解釈で食事をして支払いが出来ずに店を出たときだ。食い逃げになるよな。』
「BLTサンドください。」
そう頼んでいる人を観察する。テラスにBLTサンドを運び、食事はトレイを返してそのままお店を出ていた。何回か同じ流れをみた。
『真似してみよう』
『BLTサンドを頼んで食べながら周りを見ることにしよう。サンドイッチは視線を上げていても変に思われないのも好都合だ。』
食べながら周囲に目を配り何かの支払いが発生しているかをじっと見るが物を渡している様子はない。
『ただ、ゆっくり食事を楽しんでいる。聴こえてくる会話から、食べることが出来る時間に感謝している。調理されている一品の盛り付け方、席がキレイなこと、そんな思いを感じながら食べている。そんな雰囲気がある。』
『感謝が時間を増やすのか!?この世界、面白い!!』
試してみることにした。
『こんなにゆっくりサンドイッチ食べたことは今までなかったな。今日、こんなに天気良かったんだ。なんか新鮮だな。ただ、ゆっくり食べるのにはサンドイッチは不向きだ』
お店を出ると、サンドイッチだけだが、とても満足した感覚が得られた。
『これが食事の支払いか。プラスしかないな。みんな食事ばっかりしてしまうのでは?』
そう思いながら周りのお店を眺めた。
『高級な食事をしている人は、さらにゆっくり食べている。感謝に時間をかけている様子だ。一組ずつで予約制のスタイルのお店だと、もっとゆっくりなのだろう』
『料亭とかは、すでに一日の時間が長くなっている人しか利用できない気がする。私が行ったら前菜で1日が終わるかもしれない…。また、食事の途中でお店を出るのも失礼になってしまい、時間が短くなるんだろうな…。』
『お金っていうものは感謝をスマートにしていたんだな。なんだか感謝しないことがあたり前になっていたことを改めて学んだな。』
そう思いながら、カイトは無事に食事をすることが出来た。
本編
お金が存在しない世界でカイトは泥棒になる!!
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