詩:無かったことにしなかった

汐崎ひかり

無かったことにしなかった

入道雲は蜃気楼の上に浮かび

一歩一歩と共に歩む道は視線を外す

ピンとした姿勢は足元の影を吸収しては

その覆い尽くす暑さによって

いつかすっかり忘れてしまうのだ

しかし貴方はその日々を鮮明に語るような気がした

子どもたちの声をかき分ける必要はなくて

貴方は随分と落ち着いていて

そこには二人だけしか居ないような気がした

視線を交わした時には遅いことはなく

これからも続く道だと初めて知る

忘れることを拒もうとしても

忘れてしまいそうなその日を

無かったことにしなかった

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詩:無かったことにしなかった 汐崎ひかり @serori_c

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