第10話 いざストーカー探しに行かん!
俺と柚は、一旦姫野芽衣に作戦タイムを要請し、2人でコソコソ会議を始める。
「……さて、柚社長」
「ん、何? えーたバイト員」
「バイト員!? 俺は気を遣って社長って呼んだのに!? せめて課長にしろよ!」
「課長、中間管理職。それで、いいの?」
「うん、バイト員でいいや」
さて……ふざけるのは大概にして、少し真面目な話をしよう。
めちゃくちゃ深刻な話だったしな。
「どうする? 想像以上にやばい言葉が出てきたんだけど。俺、てっきり偶々通りかかった生徒に見られたとばかり思ってたんだけど」
「ん、ほっとく」
「いやいやそれはないだろ。せめて警察に連絡しようぜ」
と言うか、俺達高校生が何かするより警察に通報するのが1番安全かつ確実だろ。
「ん、賛成。私とえーたはゲーセン行こ」
「お前よくそんなこと言えんな。いやまぁ俺達に出来るのって言ったらそれくらいだけどさ」
正直ストーカーを相手にするなんて怖すぎるし、何かあったら嫌だ。
それも振られた相手の、だ……ぞ……ん?
「な、なぁ柚……」
「ん?」
「俺ってもしかしてストーカーの排除対象に入ってるかな?」
よくよく考えれば、噂を流したのがストーカーなら、必ず意味があるだろう。
主に俺をこの学校から排除するとか、姫野芽衣に近付かせないとか。
そもそも現時点で俺に対して生徒達の認識は『屑野郎』だしな。
「ん、入ってる。意味のない事はしない」
「だよなぁ……」
あぁ……そう考えると一気に警察に任せてただ待つだけとか出来なくなる。
いつ刺されるか分からないから怖いよ。
いや、流石にまだ死にたくない。
どうせなら彼女作ってやることやってから死にたい。
あの裏切り者達だけ幸せな日々を送らせるなんて断じて許さないぞコラ。
俺は会議を終了させると、姫野芽衣の下へ戻る……と何故か少し目を見開いて俺達2人を見ていた。
勿論俺達は何故そんな目で見られているのか不明なので首を傾げる。
「……姫野さん?」
「あ、いえ……お2人は随分仲がよろしいんだなと思いまして」
「ん、勿論。私達はゲーマー仲間」
何故か若干ドヤ顔で柚が自信満々に言う。
俺的には『そんなに仲良いか?』と思わないこともないが……この際は何も言わなくていいか。
姫野芽衣はそんな自信満々な柚に騙されて呆けていた。
「ふぇ……そうなんですね……お2人は遊びに行ったりしているのですか……?」
「ん。月曜日は2人でゲーセン行った」
「姶良は余計なこと言わない」
俺はズル休みがバレそうになったので取り敢えず柚のお口チャックさせる。
そして無理やり話を変えた。
「それで姫野さん、俺達で話し合ったんだけど……」
「は、はい!」
「因みにストーカーって俺達と同じ高校生?」
「学校内でも視線がするのでそうだと思います……」
同じ学校の生徒ね……これなら大丈夫。
どうせならカッコよく言ってやろう。
「———よし、警察には取り敢えず連絡して俺達でも独自で動こう」
「い、いいのですか!? 自分で話しておいて何ですが……とても危険だと思いますが……警察の方にも相手にされませんでしたし……」
『私は今日はあくまで注意喚起をしようと思って……』と遠慮気味に宣う姫野芽衣。
だがな姫野芽衣。
警察に言うのが意味ないとは言え、俺の命と学生生活が掛かっているんだよ。
自分の命が危ないのに呑気に他人任せに出来るほど俺はメンタル強くないんでね。
「大丈夫。同じ高校生で同じ学校って言うのが分かっているなら何とかなるから」
「あ、ありがとうございます……!!」
感極まった様に頭を下げて頻りに御礼を言う姫野芽衣。
警察には学校内とのことで相手にされなかったらしいので、余程嬉しいのだろう。
ついでに言えば、この噂が流れれば、俺の屑野郎の噂も多少払拭されてモテるかもしれないからな……!!
「ん、えーたは自分の身が怖いだけ」
「それは言わないお約束! めっ! お口チャックよ柚!」
また余計なことを言いやがった柚……!
そのことを言ったらただダサいだけじゃないか……!!
まぁそのあと何やかんやあってストーカー探しが始まった。
———————————————————————————
☆☆☆とフォロー宜しくお願いします!
人気が出れば1日2話上がるかも。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます