第6話 乱入、姶良柚
「———おい、姫野と姶良に告白したってマジか!?」
「ま、まぁ……一応?」
「お前スゲェな! 男の鏡だぜ!」
「しかも1日でだろ!? 普通に尊敬するわ」
「あ、あははは……」
学校に着くと、俺への視線は綺麗に二分化されており、男子からは若干の尊敬と驚愕の篭った視線で褒め称えられた。
そして女子はと言うと———。
「佐々木サイテー、2人に告白するとか将来絶対浮気するじゃん」
「それな〜。大体普通よりほんの少し顔がいいだけで、あの2人と付き合えるとか考えてるのマジでウケるんだけど〜!」
「あんなのに告白される2人が可哀想だわ」
「でもさ、今日はあの屑太(新たな呼び名)と姶良さんって一緒に登校してたんでしょ? 昨日も屑太は兎も角姶良さんも休んでたみたいだし……付き纏われてるとか?」
「だとしたら姶良さんを助けてあげないと!」
「後で姶良さんの所に行こ」
もうすんごい言われよう。
俺の名前いつの間にか『瑛太』じゃなくて『屑太』になっちゃったよ。
普通に泣きたいんだけど。
そんな男女によって対極の視線を浴びる中、俺は心をバキボキに折られながらも黙々と授業を聞いた。
人生で1番授業に集中できなかった気がする。
「……や、やっと昼休憩だ……! やっと、やっと1人で誰の視線にも怯えずに食べ———何しに来たんですかね?」
何とか4時間目まで耐えた俺は、クラスメイト達の視線から逃げる様に弁当を持って教室を出ようと扉を開けると……目の前に手ぶらの姶良柚が居た。
174センチの俺より十数センチほど小さい姶良柚は、俺の弁当を見ると、手を俺の前に出し、ぴくりとも表情筋を使わず言った。
「ん、弁当忘れた。くれ」
「やだ。お前と関わると碌な事が———」
「———ねぇ、姶良さん。屑太と関わらない方がいいわよ? コイツは貴女にフラれた後に直ぐに姫野さんに告白する様な最低な屑野郎なのよ?」
そう姶良柚を諭す様に、俺に侮蔑の篭った睨みを効かせる、このクラスのスクールカースト最上位のそこそこ美少女&高身長&巨乳で裏切り者の彼女である———
因みに俺はコイツが大嫌いである。
和樹と付き合う前から、何かと俺を毛嫌いして和樹から離そうとして来たからな。
まぁ今は和樹とちっとも話していないが。
しかし、彼女の影響力は強く、このクラスのほぼ全ての女子が彼女の味方であり、口々に賛同の声が上がる。
いや確かに自分でも屑かったと思うよ?
それは紛れもない事実だけどさ、流石にこんなずっと本人でもない赤の他人に言われ続けたら傷付くよね。
というか、わざわざ俺の傷を蒸し返してくる方が酷いと思うんですよ俺は。
もうフラれたんだから良くない?
ただ、俺にはそんなことを言い返す勇気もないので黙っていると、姶良柚は理解出来ないといった風に首を傾げた。
「えーた、屑なの?」
「そうよ。だから姶良さんも彼に関わらない方がいいわよ。だから此方に———」
まるで子供に言い聞かせる様に忠告する西園寺は、姶良柚に手を伸ばすが———ペシッと手を
そのことに驚く西園寺に、姶良柚が興味なさそうに言う。
「えーたが屑かは知らない。でも、えーたと関わるのは、私の勝手。外野の女に言われる筋合いはない」
更に姶良柚は重ねる様に『このクラスの女子嫌い』と言い放ち、同時に西園寺を含めた殆どの女子の顔色が変わる。
何か恐れる様な悪い方に。
しかしそれも仕方ないことだろう。
何せ姶良柚の学校での影響力は、学校のマドンナと呼ばれる姫野と同等で凄まじいから、そんな彼女に『嫌い』と言われたら学校での立場も終わった様なもんだからな。
……うん、彼女が俺のこと嫌ってなくてよかったって今思ったわ。
俺が心の底からそう思っていると、姶良柚が俺の腕を掴んだ。
「えーた、行こ」
「お、おう……」
俺は困惑しながらも、姶良柚に引かれて共に教室を出た。
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