バッチグー戦士ビューティーダー
九木十郎
プロローグ
スマホによく分からないCMだの広告だのがメール配信されてくるのは、昨今の世間一般における常識の一つだ。
そして溢れんばかりの同業他社をかき分け、たとい毛先一本分でも突出しようと、短い枠に素っ頓狂で珍妙なセールストークを刻むのもまた、よく見る光景であった。
その日に着信した広告メールもまたその類い。そう確信して、ろくに読もうともせず削除しようとしたのだが、ほんの気まぐれで開いてしまったのはコピーライターの勝利と言えよう。
曰く「きみもなろう、魅惑の美少女戦士」
なんじゃコリャ。
男の娘でも、もう安心。ジェンダーレスの昨今で生物学的性差を論じるのはナンセンス。美少女戦士に変身して此の世の悪を殲滅だ云々。
ちらりと斜め読みしただけなのだが、これを書いたヤツのIQを疑った。なんて頭の悪そうな
そーいや、柳田とかいうネット廃人一歩手前の
本人も、自身がオトコであるコトを公開しているのが、なりすましとは根本的に違うのだとかなんとか。略して「バ美肉」とか言うらしい。ついていけない世界なので「なるほどそうですか」とかしか言えないけれど。
恐らくこのメールもその類いのコンテンツだな、そう見当を付けた。
吃驚するくらい長い文面だった。契約だの規約だのという文字が躍っていたが、全部読むのも阿呆くさくてそのまま削除した。これでこの件は終了、実にしょうもない。そのままこのメールが来たこと自体、忘却の彼方へと蹴り飛ばした。
そう、コレで終わりのハズだったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます