第六章 ③是の脚本家・輝章
映画のシナリオコンクール『
【天才脚本家、
これを契機として、大学時代に書き
さらには、演出家や劇作家としても活躍の場を広げていく。映画・ドラマ・演劇に、鮮烈な作品を送り出す。そしてそのすべてが、国内外、各分野から
輝章の作品には、無名俳優や新人俳優、若手スタッフが数多く起用される。そしてなぜか、取り立てられた俳優陣やスッタフは目覚ましい躍進を遂げていく。作品を起点として『立身出世』する……、そんな『
そのため、輝章が主催するオーディションには、プロアマ問わず大志を抱く者たちがこぞって押し寄せた。ときには、大物俳優や有名女優までもが出演を熱望し、オーディションに参加した。幸運にあやかりたい関係者が群がった。
輝章は
イタリア南西部・ソレント。
輝章は国際映画祭の受賞式に出席するため、ソレントを訪れていた。フランスのプロデューサーと合作した作品がノミネートされ、世界的に評価を得たのだ。
……爽やかな青い空、
ふと、視線の端に長身男性を捉えた。浅黒い肌をした快活そうなアジア系の美青年だ。
「ゔぅ? ゔげえっ!」
その青年は顔をしかめて奇声を発した。どうやら青レモンにかぶりついたものの、固くて苦かったらしい。
ふたりの視線がぶつかった。
美青年はニヤリ、
「やあ、輝章くん! 偶然だねえ?」
「え? えっと……?」
「あっ! 間違えた。イヒヒッ! 初めまして、輝章くん! おいらは
気さくな自己紹介を終えた。そして、
濡れているかのような漆黒色の龍体が艶めく。金色に縁取られた龍眼は冷ややかで眼光は鋭い。キラリ、研ぎ澄まされた銀爪を
輝章は、呼吸を忘れて固まった。呂色九頭龍神が現れるのは、『
……ああそうか、僕は気づかぬうちに
我ながら
だからこそ、常に不履行にならないように、
恐らくきっと、実力以上の過大評価を得ていたのだろう。
いつの間にか、心に
気づかぬうちに、
輝章はすぐさま頭を下げた。
「どうやら知らぬ間に契約を
輝章は腰を折り曲げて
再び人間に化身したコン太は笑う。
「イヒヒ!
「あ、ああ……、それなら良かった……です」
輝章は
「ねえねえ、輝章くん。実はおいらに協力してほしいことがあるんだよ。あのねえ…………」
「…………!」
輝章の安堵の人心地は瞬時に消え去った。呂色九頭龍神からの『極秘依頼』に対する緊張へと置き換わってしまった。
コン太はニヒルな笑みを浮かべる。輝章は頷く。
ふたりは『密約』を交わした。
赤煉瓦ベル。
夜になりグリーンのカーテンが閉められた。そこには、ソファーに浅く腰掛けて前のめりの姿勢になってテレビドラマに
……輝章さんの作品は奥深い。この連続ドラマは今期最高視聴率だ。グラビリズムとモアレリズムのふたつのリズムが最大値となった才能が見事に開花して評価を得ている。それが、この上ない喜びだ。
そして、このドラマの主題歌を歌い上げているのはモアレリズムの契約者のツボミさんだ。 透き通る美しい歌声にドラマの感動は
凛花は涙があふれて止まらない。是契約者の活躍が嬉しくて
「輝章さん、ツボミさん! すてき……!」
部屋からひとり、拍手と
そのうえ、凛花には心の底から大切に想える『宝物』がある。
それは『宇和島の家族』と『龍神の家族』だ。無二なる家族をふたつも有している。
「ああ、幸せだなあ! どうしよう、
凛花は日々の
そんな
天上界の
龍使い凛花を極上の未來へいざなうべく、 『カミハカリの演算』が開始されていた。
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