第参話 未来の悪役さまは視た<壱>



この世には参種類の人間がいる

雑魚、熊を倒せるもの、倒せないもの

それは子供でも分かる簡単な我が家の常識だ

おれはとある国の将軍家長男、蛇楼だ

三年前、父に家から門払いされ見返すために修行に出た

この世界の秘境にも立ち寄ったし、誰もが知らぬような異次元の世界への入り口も見つけた

"闘気"の格が上がり上段まで上げて父に復讐しに行こうと国へ帰っていく所だった

視たこともない、鬼の少女に出会った

紅の瞳に白の長髪、可憐な顔立ちで着物を捲し立て、よいしょ、とその年には不釣り合いな壺を持っている

中から蛇らしきモノをだし腹黒い笑顔を向けお世辞にも可愛らしいとは言えない

ぐへへ、と奇妙な笑い声を零し彼女は威嚇する蛇を握りつぶす

額に生えている二本の立派な角

アレが物語っている

あいつはかなり"上段の鬼"だ

ヤバい、肌がビリビリと震え彼女が紅の瞳が洙苑の瞳に代わり彼女の視線が此方に移る

今まで見たこともない殺気を向けられ動かない口を精一杯動かした



「貴様、さてはその角は鬼だな!我が二条将軍家の長男蛇楼ジャロウが相手をしてやろう!」



おれが精一杯叫ぶと彼女...いや、妖しき鬼が首をコテンと傾げた

その仕草が人間の用で不気味に感じた

そしておれの顔をじろじろと不敬に視て口を開いた



「おのれ塁おのれ塁おのれ塁おのれ塁おのれ塁おのれ塁おのれ塁おのれ塁おのれ塁おのれ塁おのれ塁おのれ塁おのれ塁おのれ塁おのれ塁おのれ塁おのれ塁おのれ塁おのれ塁おのれ塁おのれ塁おのれ塁おのれ塁」



アレは狂人の顔だった

ぐにゃりと可憐な顔を歪めぶつぶつと呪文のように呟くその姿は流石のおれでも引いた、否、ドン引きした

何だこやつは

おれのひゃく...千倍程の闘気が鬼から放出される

無意識にあしが小刻みに震えた

鬼はおれを置いて一人で話し始め何をしているか教えてくれた

この鬼の名前は紗那シャナと言うらしい

とある下忍の少年を非常に憎んでおりこうして呪っていたという

年齢は今年で6つになるそうだ

おれより3つ下なだけなのにここまでその塁と言う下忍を憎んでおるとは...女子おなご、恐るべし

近くに鬼の家があるらしく、今日は野宿しようと考えていたところ残忍で卑怯な鬼とは考えられぬほどさらっと対価もなしに泊めてもらうことにした

鬼に付いていき自宅とやらに着くと目がくらむほどの美人に向かいれてもらった



「あら、紗那のお友達かしら?紗那、ようやくお友達できたの、良かったわねぇ」



と 呑気に言ったものだ

よくここまで生きてこれたな、鬼の母親とやらよ

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