“世間知らずのお坊ちゃまには手が焼ける” ワタシの仕事もやたらと増える!

神石水亞宮類

第1話 “世間知らずのお坊ちゃまには手が焼ける” ワタシの仕事もやたらと増える!




“世間知らずのお坊ちゃまには手が焼ける” 


ワタシは、このお家の旦那様から“全幅の信頼”をされている。

だからなのか? 旦那様の息子、お坊ちゃまにワタシがいつもついて

身の回りの全てのお世話をする事になった。

お坊ちゃまが赤ちゃんの頃から母乳をあげ、おしめをかえて、よく泣く

お坊ちゃまをあやしたものです。

お坊ちゃまのお母様は、元々体が弱くお坊ちゃまを産んで直ぐに亡くな

られてしまいました。

その後は、ワタシがお坊ちゃまの母親の役割も任せられたのです。

ただ、お坊ちゃまは世間知らずで、一度も働いた事がない。

まあ、お金は腐るほどあるので働かなくてもいいのですが......。

世間を知るためにも、ワタシはお坊ちゃまにバイトでもいいので働いて

ほしくて、簡単で誰にでもできるバイトをお坊ちゃまにさせる事にしました。



『今日からお坊ちゃまには、コンビニで働いてもらいます。』

『えぇ!? 僕がそんな仕事できないよ。』

『大丈夫です! ワタシも一緒のコンビニで働きますので、何かあれば

ワタシが何とかします!』

『麻風呂がそういうなら、面倒だけど、やってもいいよ!』

『ありがとうございます。』



・・・まあ、分かっていた事ですがワタシが想っていた以上に

お坊ちゃまはいろいろとやらかしました。



例えば? コンビニのバイトの女の子のお尻を触ったり。

やたらとしつこく、連絡先を聞いたり、若くてキレイなお客さまが

コンビニに来れば、必要以上に個人的な事を訊いたり、仕事でも失敗

ばかりで、、、。

勝手に冷蔵庫からコーラやお菓子を開けて仕事中に食べたり飲んだり

やりたい放題で、当たり前ですがお坊ちゃまは即クビになりました。

でも? そこはワタシくしのお仕事!

ワタシがコンビニの店長に賄賂を渡して、何とか1週間経った今も、

お坊ちゃまはまだコンビニで働いています。

ただ、同じコンビニの店員には完全にお坊ちゃまは嫌われてしまいましたが。



『お坊ちゃま? 皆さんとコミニケションを取ってください!』

『取ってるよ、でもさ? 僕を皆が嫌がるんだよ。麻風呂、どうにか

してくれないかな?』

『畏まりました。ワタシが何とかします!』



ワタシはお坊ちゃまの為に、コンビニの店員皆に数万円渡し、お坊ちゃまと

仲良くしてくれるよう頼み込みました。

ですが、みんながみんなお坊ちゃまと仲良くしてくれるという訳にはいきません!

数人のコンビニ店員は、お金を渡した事もってお坊ちゃまと仲良くしてくれましたが、残りの店員は相変わらず、お坊ちゃまを嫌いました。



・・・でも数日後。

お坊ちゃまと仲良くしてくれたコンビニの店員の女の子がワタシにこう言っ

たのです。



『麻風呂さん、少しいいですか?』

『あぁ、はい!』

『・・・実は私? 宇野倉君の子供を身ごもったみたいなんです。』

『えぇ!?』

『私のお腹の中に、宇野倉君の子供が居ます。』

『まさか? まだお坊ちゃまは子供ですよ。』

『頭でもおかしいんですか? 十分過ぎるぐらい彼は大人ですよ! 

普通に私に体を求めてきて、やる事やってこうなったんじゃないですか!』

『ワタシがお坊ちゃまのおむつを替えて、大泣きするお坊ちゃまをあやして、

そんなお坊ちゃまがそんな事を、、、!?』

『じゃあ、宇野倉君に直接聞いてください! 私は、ただ責任を取ってほしい

だけなんです!』

『・・・わ、分かりました! お坊ちゃまに確認してみます。』

『宇野倉君に言っても、どこか他人事だし! 麻風呂さんに話した方が

話が速いと思ってたのに......。』

『とにかく! お坊ちゃまにちゃんと真実を聞いてから、お返事します。

それまで、待っていてください!』

『分かりました、よろしくお願いたします。』





 *





『“お坊ちゃま、本当ですか? 井川さんに手を出したって?』

『あぁ、本当だよ! 可愛い女の子だったから、グイグイ行ったら?

簡単に、あの子僕に体を許してくれたよ。』

『“彼女のお腹の中にお坊ちゃまの子供が居るそうです。”』

『僕はそういうのはよく分からないんだ! だから麻風呂が後片付け

しておいて!』

『畏まりました。』

『頼んだよ。』




ワタシは彼女にまた会い、お坊ちゃまの子供をおろしてほしいと

頼み、その分のお金300万円を彼女にお渡ししました。

彼女はニコニコして、了承してくれましたよ。

後で何か言われても困るので、“契約書”を書いてもらってね。

これで、この事は全て解決です。




『お坊ちゃま、解決いたしました。』

『ご苦労様、また頼むね、麻風呂!』

『はい。』



本当に、世間知らずのお坊ちゃまには手が焼けますよ!

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