第22話 サイーシヤ

 翌日、俺は午前中、ドニィーシャに剣を習う、午後は図書室へ向かうアピルがいるはずだ。

 アピルは俺を見ると夕食会で俺のイメージが出来上がっているのか、淫乱男を見る目で言う。

 「我を凌辱しにきたか、昼間からとは見境ない小僧だ。」「違いますよ、アピル様に教えを願いに来ました。」

 「ふん、我の知識が目当てか、言うがいい。」「魔術を教えてください。」

 「魔術ならサイーシヤがいるだろ。」

魔女殺しの魔術士であるサイーシヤが俺に言う。

 「魔術ならお任せください。」「いや、アピル様にお願いしたい。」

 「小僧、やはりよこしまな考えがあるな。」「いえ、魔術全般の知識が必要なのです、サイーシヤでは偏ります。」

 「我は知識だけで実践はしないぞ。」「構いません、実戦は自分で試します。」

俺は、こうしてアピルに魔術を基礎から学びなおすことにした。

 次の夜伽役はサイーシヤであった。金髪の彼女は、妖艶な感じのする女性である。

 美人であるが、俺には、ドニィーシャにと同様、サイーシヤも化け物である。俺は、ベットでサイーシヤと話をする

 「サイーシヤはアピル様の護衛役?」「いいえ、一緒にいるだけです。」

 「アピルは、襲撃した貴族の屋敷の地下牢にいたのです。」「それ以来一緒にいます。」

俺は昔のことだなと思いながらサイーシャに聞く。

 「いつのことですか?」「もう400年になるかしら。」

ここは化け物が揃っていると思う。サイーシヤは俺の心を読んだのか説明する。

 「私は1000年位生きています。ドニィーシャに出会ったのは、アピルとあって、しばらくした時です。」「なぜ、長生きなの。」

 「聞きたがりですね、私は魔女に育てられました、両親は知りません。彼女は私を研究対象として育てました、その影響でしょう。私を抱かないのですか、私の裸を見た男たちは皆欲望の虜になりなしたよ。」

 「そいつらはどうなった。」「凍土の下にいます。」

 「へー、冷気を操るんだ、怖いなぁ。」「ツンドラの魔女、私の育ての親はそう呼ばれていました。私はツンドラの魔女を殺しました。」

 「どうして。」「内緒です、聞きたがりさん。」

そのあと彼女との会話はなかった。


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