龍はおいしい水がお好き
みおさん
Prologos 心願
何故毎日地上を見下ろしているのか?
創造神ザーネスにそう問われた神官は、一度ゆっくりと目を閉じた。
その神官は生前、地上でよく働き神々に忠実に仕えたとして、天に召されたあとも創造神ザーネスの近くに置かれていた。
天界からは地上の様子が良く見える。
神官は少しでも時間があれば、足元に目を向けて地上を見つめてばかりいるので、ザーネス神は理由を問うたのだ。
「神よ。私のたったひとつの心残りは、あの子にございます。龍の先祖返りであるが故に、長く孤独を抱えているあの子です。あの子が安らげる場所を見つけてくれれば――ただ、そのひとつことを見届けたくて、こうして地上を見ております」
何故私に問わないのか?
ザーネス神は天と地上の全ての理を生み出した存在である。
この御方に問えば、神官が気にかける龍の先祖返りの行く末を知ることは造作もないだろう。
「それは――もし、万が一にも、あの子が孤独のまま永き生を終えると知るのが恐ろしいからにございます。どうか私に先のことをお教えにならないでください」
神官はそう答え、またじっと地上を見つめた。
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