当時の自己評価

 この当時思っていたことを書いた文章を発掘したので残しておく。我ながら自分語りが上手くていい文章だと思う(自画自賛)。




 自分の思考の根底には自己評価の低さがあると思う。自信のなさとはまたちょっと違っていて、自分はこういう見た目だとかこういう性格だとか過去にこういうことがあった、あるいはなかったとかいうことを「事実」と捉えて、ゆえに異性から好かれることはない、女性としての価値はないと判断している。

 なので今まで自分を抱いてきた男性たちに対してなぜ?という気持ちがあるし、失礼な言い方をすると趣味悪いな...と思ってしまう。初めて会う人とセックスをするときはいつも不安になる。この人は自分で勃つのか、射精に至ることができるのか、自分のことは二の次にして考えてしまう。自分にそういう魅力がないと思っているから。

 そもそも自分は女性らしくあることを拒む傾向があって、大学に入って以来一度もスカートは履いていないし髪も基本ずっとショートにしている。

 男性になりたいわけではないし女性であることに違和感や嫌悪感があるわけではないけど、かっこよくあることに憧れ続けている。

 この「女性としての魅力がない」という自己評価と、「女性らしさを求められたくない」という気持ちが矛盾なくつながっているかというとそういうわけでもなく、なんとなくズレたようなひっかかりがあって、けどそれがなんなのか分からないまま並立している。


 セックスに何を求めているのかと言えば、単純に気持ちよさでしかない。小4で性に目覚め約10年間ソロ活動に励んできた私はセックスに対して並々ならぬ興味と関心と意欲を抱いていた。

 2年前の夏晴れて処女を卒業するに至ったのだが、私が得たのは後悔と虚無と自己嫌悪と、その他諸々の負の感情だけだった。ふとした瞬間にその時のことを思い出して死にたくなったりもした。心の底から叩きのめされた気分だった。加えて、自分のセクシュアリティについても悩んでいた頃だったから、自分は二度と男の人とセックスできないだろうな、という気持ちが胸を支配したが、それでもやはりセックスを諦めきれなかった私は、それから約一年後、去年の秋口にあるサービスを受けることにした。女性向け風俗である。受けることになった経緯やサービスの内容については省略するが、ともかくこれでもダメだった。

 肉体的に問題があったわけではないが(むしろ濡れやすいねと言われた)、終わってからの虚無感が半端じゃなかった。辛すぎて家に帰ってから1人でヤケ酒をした。

この時何かのタガが外れたようになって、数日後には某出会い系サイトに登録していた。これまでの失敗を、数あるうちの一つにしてしまえば気持ちが楽になるんじゃないか。そういう考えもあった。そんなこんなで1人2人3人と会ううちに、これまでのはなんだったのかと拍子抜けするほどセックスが平気になった。ここにきてようやく、「男の人」がダメだったのではなく「その人個人」がダメだったんだなと気づいた。


 こんなことをしているとあまりにもそれが当たり前だから忘れがちだけど、よく知らない人と会ってセックスするのは決して健全ではないしまともではない。私はもうすでに精神というか貞操観念がどこかズレておかしくなってしまっているので、今さら普通の恋愛をして特定のパートナーを作りその人とだけセックスするなんていうことができるとも思えないのでその点は諦めている。

 誰でもいいから処女を捨てたいと言う女性を見ると、大事にしてくれ...と思う。私みたいにならないでくれ。本当に好きだと思える人と、この人なら自分の初めてをあげてもいい人と出会えるまで大事にしてくれ。

 処女であることをコンプレックスに感じるのはすごくよく分かる。これには多分いくつかパターンがあるんだけど、自分の場合周りより遅れているということはさほど重要ではなくて、他の人は普通に経験するであろう恋愛経験が全くないこと、およびその原因である自分の容姿だとか性格だとかに対する劣等感=処女であることへの劣等感=自己評価の低さであるのだ。

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