最終章 世界の夜明け
第1話 人の闇が集う場所へ
ヤンカー市のスタンピードから数年の月日が経って、俺は17歳となり成人していた。
ハリエット、サーシャ、メルローズ、アナスタシアの4人とは、俺が15歳なり成人したタイミングで正式な夫婦となった。
王都を目指す旅の方はというと、ある事情からバラハット村という所に滞在していたが、ようやく移動ができる状態になったので、再び王都を目指して村を発つ準備をしている。
「こらっ、待ちなさい!」
ハリエットが大きな声で怒っている。
「やーだ」
「やだじゃないの!ママ達は荷造りで忙しいって言ったでしょ? それは鞄に入れるから返しなさい!」
「やーだ!あそぶの!」
ハリエットが怒りながら追い掛けているのは、俺との間に生まれた娘のアミュルで、2歳の遊びたい盛りで全く言うことを聞かずに暴れ回っているのだった。
荷造りの邪魔をしながらそこら中を駆け回るアミュルを、俺は背後から『スッ』と持ち上げる。
「ほらっ、捕まえたぞ!」
「あっ、パパッ!」
「あまりママ達を困らせちゃダメだよ?」
「だって遊んでくれないだもん」
「う〜ん、準備が終わったら馬車に乗って旅行ができるんだよ?」
「りょこう?」
「うん、あの馬車に乗ってアミュルの知らない場所へみんなで行くんだよ!きっと楽しいことが待っていると思わない?」
「いきたい!」
「じゃあ、少しの間おとなしくできるかな?」
「する~!」
大人しくすることに成功すると、そこからは旅の荷造りが捗って翌日に村を発つことができそうだった。
俺達が目指す王都は権力者の集まる場所だ。地方のヤンカー市を治めていた、ヤンカー男爵ですらかなりの闇を抱えていた。それ以上の権力者が集まる王都は、人の闇が集う場所なのだろうと理解している。そこで人の闇の深さを知って、今後の生き方を考えようと思っているのだった。
§小桃の一言§
お待たせしました。
最終章の開始です。新たな命を授かったウォードは、人の闇の深さを知る為に王都を目指して、そこで何を思うのか? ウォードの旅の果てをお楽しみください。
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