第54話 家馬車完成

 胸の痛みを感じてからは戦闘に参加せず、指示役に徹して身体に負担をかけないようにしてる。


 移動中は基本的に家馬車ルーロットの内装を仕上げていって、空いてる人に手伝ってもらいながら作業を進めた結果。遂にバス、トイレ、シャワールーム完備の家馬車ルーロットが完成したのだった。


 走行中は流石に水を使えないので、休憩のタイミングで動作確認を行った。


『シャーーッ』

「うん、これで内装も完璧に仕上がったから、僕達の家馬車ルーロットの完成だよ!」


 俺がキッチンとシャワーの動作確認をして、完成したことを伝えると歓声が起こる。


「「わぁーっ!」」

「今日からシャワーを使えるのね!あっ、今から汗を流してみてもいい?」

「うん、大丈夫だよ」


 ハリエットが目を輝かせながら聞いてきたので、俺は笑顔で頷いてから答えると、人の目をはばからず服を脱ぎ始めたので、慌てて声をかけて止めた。


「ちょっと、ハリエット!見えない所で脱がないと見えちゃうよ?」

「えっ、ウォードに見られても恥ずかしくないし、他は女同士で見られても問題はないよ?」


 そう言いながらシャツを脱ぎ終えて、ハリエットの綺麗な裸体が目に入った。確かに見慣れた光景だけど、俺は目線を下に向けて注意をする。


「確かにそうだけど、もしも近くに他人がいて、ハリエットの綺麗な身体を見られるのは嫌だよ」

「あっ、ごめん。私もウォード以外の男に見られるのは嫌だから気をつけるね」


 注意を受けたハリエットは、『ハッ』とした表情になり胸を隠しながら謝った。周りに人の気配はないけど、大好きな人の裸は絶対に見られたくないからね。


「じゃあ、シャワーを待っている者で食事の用意をするわよ。私は馬車の中で料理を作るのも楽しみだったのよ」

「パミュルさん、お手伝いします」

「メルちゃんがお手伝いなら、次は私がシャワーを使わせてもらうね」


 ハリエットがシャワーを浴び始めると、パミュルが食事の用意を始めると、メルローズが隣に並んで手伝いを始めた。俺は外へ出て馬に餌を与えに行こうとすると、胸に痛みが走って階段を降りきることができずに、踏み外してそのまま落ちてしまった。


「っ……」

『ガタッ』


 そのことに気づいたパミュルは、血相を変えて駆け寄って声をかけながら抱き寄せた。


「ウォード、ウォード、大丈夫なの?」

「うっ……」


 胸の痛みが激しくて返事をすることができず、そのまま意識を失ってしまった……。


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