第113話 アストン準男爵の頼み
俺に〚錬金術師〛の天賦がある事が判ってから1カ月が経ち、ダンジョン鬼の棲家のマッピングは
(このエリアがあって複雑で先へ進めないから、誰も進まなくなったのかな?)
この街に来た最大の目的、錬金術の修行は順調そのもので、アストン師匠からの課題は全てクリアして、今は
メリルの暴走はなくなって、今では良い友人でありビジネスパートナーとしての付き合いをしてる。仕事に関しては『できる女』で、最近は作って欲しい要望書などを作成して、俺も期待に応えるように製作活動を頑張ってる。
(メリルも思い込みで暴走しなければ、仕事のできる魅力的な女の子なのにな〜)
そして今日は、アストン師匠の工房で錬金術を学んでいたが、気のせいなのか?いつもの雰囲気と違ってるように見えた。
「ウォード、俺はラグーン王国から【準男爵】の爵位を叙爵される事になったんだ」
師匠の口から叙爵の話が出て、いつもと雰囲気が違ったんだと理解した。俺の知ってる限りでは、過去の偉業成し遂げた者に与えられた爵位で、大変名誉な事だ。
「おめでとうございます!弟子として鼻が高いですよ」
俺がそう言うと、師匠は指で鼻を擦りながら、複雑な表情で返事をした。
「今回、王国から称えられた偉業は、お前の変わりに公表した術式によるものだ。俺は何もしてないんだよ」
「師匠が素晴らしい錬金術師だから、術式が認められたんです。僕だったらこの術式は埋もれたままだったはずです」
自分の偉業ではないと言ったが、この事については前に話したように、俺が公表しても誰も信じないので、代わりに師匠が公表したんだ。
「そこでだ、お前は正式な弟子としてこの街で工房を開いて欲しい。そうすればお前が考えだした術式が、世間に認められるようになるはずだ。どうか真剣に考えて欲しい」
師匠からデルポト市の職人街に身を置いて、準男爵アストンの弟子として工房を構えて欲しいと言われた。
とても名誉な事だ。ここに身を置けば錬金術師として師匠のような名声を得る事も可能かもしれない。だけど……俺には世界中を旅して、いつかヤンカー領に立ち寄り、前世で愛したセナを一目見たい思いがある。
「その事については、お断りします。僕は錬金術師ではなくハンターなんです」
だからここで立ち止まる事は出来ないんだ……
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