第107話 想定外の相手
休憩を終えてから
「3体までは1人1殺で、それ以上は僕とハリエットで1体ずつ倒すよ。パミュルは魔法で動きを止めて欲しい。6体までなら迎え撃つけど、それ以上は距離とって数を減らしながら討伐するね」
「「OK!」」
そんな感じでエリアを進んでいくと、
「あれは、かなり大きいからハイゴブリンじゃないね……ホブゴブリンっぽいね」
「1体だけどハイゴブリンと比べても遥かに強いと判るね。どう戦うの?」
「パミュルは足元へ魔法攻撃をして、僕が指示したら槍に変化ね。ハリエットは特製の矢で確実に当たる場所へ矢を射ってね!仕留めきれなかったから僕がトドメを刺すよ!」
「OK!」
ホブゴブリンが盾と剣を構えて動き出すと、パミュルは風魔法を唱えて動きを封じようとする。
「〚
『シュババババッ』
10枚の風刃がホブゴブリンの足元を襲う。
剣で弾くが勢い押されて剣を持った手が弾かれて、残りを盾で受けようと腕を下げた瞬間、俺は2人に指示を出す。
「ハリエット、盾が下がった今がチャンスだよ!パミュルは槍に変化して」
「「OK!」」
「やぁ!」
『ビシュッン!』
盾が下に下がった隙を逃さずに、ハリエットの
矢がホブゴブリンの左肩を貫通すると、握られていた盾が落ちて風刃が足に直撃した。
「ガッ、ゴギャアーー!」
肩を射貫かれ足を切断されたホブゴブリンに抵抗する余力はなく、俺は頭へ槍を突き立ててホブゴブリンを仕留めると、魔石と黒い玉を残して消滅した。1体だったから良かったけど、他にハイゴブリンが現れていたら勝てたか判らなかった。
「お疲れ様。3人での先制攻撃が上手くいったけど、ホブゴブリンは凄いプレッシャーだったね」
俺がドロップを拾いながら戦った感想を伝えると、特製の矢を回収したハリエットが『ふぅ〜』とため息をついてから口を開いた。
「作戦がハマったから良かったけど、エリアで現れるとかなり危険な相手だろうね」
「あの感じだと、ハイゴブリンまでのように勢いに任せた攻撃だけじゃなくて、しっかりと防御もしてきそうだからこの経験は大きいよ。次に現れても対応策を立てて戦えるからね」
今回の経験は大きい。単独で現れる〚幸運〛に恵まれてホブゴブリンの感じが少し判ったから、次は複数で来てもある程度の戦略を立てれるからね。
パミュルは槍から人型に戻ると、そのまま俺に抱き着いて話しかけた後にキスをしてきた。
「初見の相手でも相手の動きを封じて、一気に攻め立てる事を直ぐに思い付くウォードは、凄くカッコ良かったわよ」
「ありがとう。僕の思った通りに動いてくれる2人が居てこそだから感謝してるよ」
「私の存在を忘れちゃダメだよ〜」
頬を膨らませたハリエットが俺とパミュルの間に割り込んで、そのままキスしてから微笑んだ。
「パミュルが言った通りカッコ良かったよ」
「ありがとう。外に出て野営の準備をしよう」
「「OK!」」
試練の間を出た後は、テントを張って食事を取ってから、疲れた身体を休ませたのだった。
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